102話 論功行賞 3
盗賊の襲撃も少なくなるだろう、そうマコトは考えていたがその予想は裏切られて少なくなるどころか寧ろ増加していた。
その理由も、すぐに判明した。
難民、流民の盗賊化である。
火龍アラドームによって村や街を逐われた住民達が帰る家も故郷も無くして王都に集まり、王国による支援もあったものの受け入れる受容量を超えてしまったため、路上で生活する羽目になった者も多かった。
それでも生活が出来ている者達は良かったが、水場でのいさかいや生活ゴミを巡って元からの王都住民と問題を起こす者達も多かった。
そういった者達は王都を出ることになるが、元から蓄えなど僅かしかなく自然と盗賊へとなってそういった者同士が徒党を組み、盗賊が増えていくこととなる。
そのせいで今の王都の周辺地域は、にわか盗賊団が乱立しており治安は悪化の一途を辿っていた。
王都まで後4日の距離の街道上でマコト達、葬送曲は本日2度目の襲撃を受けていた。
数は150人程、巡回中の王国兵を襲ったのか、武器商人を襲ったか?一部の盗賊はマシな武器を持っているが、殆どは鎌や鍬、ひどいのになると棍棒や投石といった者も居た。
冒険者の集まりである軍団にしてみれば数だけの烏合の衆だが、一般の旅人や商隊、王都に農産物を運ぶ農民からしてみれば脅威である。
マコト達は、いささかお馴染みの行動となって来た作業を繰り返す。
まずは、拡声器で警告する。
無視される。
空砲を数発撃ってみる。
少し尻込みしながらも、被害が無いことに安堵して前進する盗賊達。
空砲をゴム弾に切り替えて、盗賊団に向かって発砲する。
怪我人を数十人出してやっと逃げ出す盗賊達。
ほどほどの数の盗賊団を捕縛して前進を再開するマコト達。
次の街で盗賊団に出くわした事を衛兵に連絡して、盗賊達を引き渡して報奨金を受け取る。
これの繰り返しである。酷い日には3回も襲撃があった。
王都の周辺地域ということもあって王国軍も動かしてはいるのだろうが、少数ならば数の暴力で返り討ちに遭うし、大軍だと盗賊団の方が隠れてしまう。
まさにいたちごっこである。
少数で多数を返り討ちにするマコト達、葬送曲の方が異常であって王国軍も苦労していることだろう。
そんな数日を過ごして王都まであと1日となる王都東の街、お馴染みのイースタにたどり着くと、目を疑う光景が目に飛び込んで来た。
何とイースタの街の外壁をよじ登ろうとして、1000人近い人間が押し寄せているのだった。
初めは、飢えた難民が無理をして街に入ろうとしているのだろうかと思ったが良く見ると時折、群衆の中から外壁上の衛兵に向かって矢が放たれていることからこれは、盗賊団による攻城戦なのだと判断した。
街を治める何とか子爵も肝を冷していることだろう。
街で休む為にも、あの盗賊団を何とかしよう。
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