101話 論功行賞 2
以前王都ゲイボルグに冒険者ギルドマスターであるマーカスの護衛で行った時は竜車に合わせて9日間かけて向かったが、今回は2週間もある。
前回は立ち寄れ無かった街などを観光しながら、ゆっくりと王都に向かうつもりだった。
しかし、
「引き付けて、良く狙って撃て!!」
マコト達葬送曲の車列は、絶賛盗賊に襲われ中だった。
王族であるマーカスから、貴族や金の有る軍団、豪商は立ち寄った街で散財するのがステータスで、経済の循環にも通じる。
というアドバイスを受けて、それなりに散財して来たがそこを盗賊団に目を付けられたらしい。
敵はどうやら元からの盗賊団と火龍アラドームの騒動で難民となった者達が連合を組んだらしい。使い捨てにされている前衛の武器の粗末さに、それが現れている。
元は難民とはいえ武器を持って人を襲う選択をしたのならそれはもう立派な盗賊だ。
という訳で、マコト達は遠慮なく盗賊団を迎撃していた。
数は100人といったところか、武器はともかく血色は良さそうだ。
これが、初めての襲撃という訳でも無いのだろう。
マコト達は盗賊団の肩や腕、無理なら足を狙って撃っていた。
別に博愛精神に目覚めた訳ではない。
盗賊は殺しても懸賞金が懸けられでもしてなければ、大した金にならないのだ。
ならば生かして捕縛して、犯罪奴隷として売った方がいくらかましだ。
タタタン、タタタタタタン、タタン、
森に沿った街道に軽やかな銃声が響き渡る。
使い捨ての元難民達が倒されていくのを見てだろう、本職の盗賊団が逃走の兆候を見せる。
「1人も逃がすな! 1班から4班前へ!!」
今回は、連れて来た50人のエルフを10人ずつ5班に分けて運用していた。
普通の兵士ならば土地勘の有る盗賊に森の中で苦戦するのだろうが、こちらは森の中を生活の場とするエルフだ。
1人また1人と無力化されて行く。
最終的には数名逃がしてしまったがあとは地元の衛兵に任せよう、盗賊退治が目的ではないし。
怪我を負い応急処置を施した盗賊団は82人で、数人が死亡した。
それらは全て次の街の衛兵詰所で引き渡し、報奨金金貨200枚200万円を手に入れた。
この報奨金も道中の街で使い果たす積もりだ。
想像していたよりも少し多いが賞金首でも居たのだろう。
ありがたく貰っておく。
旅を始めてまだ1週間だが、火龍アラドームの周辺地域に与えた影響は色濃く、散財はするが今回のような盗賊の襲撃や魔物の襲撃が普段よりも多かった。
それらを撃退していると、自然と報奨金や賞金が入って来て街で散財する予算に困ることが無く、元手は殆どかかっていなかった。
これからはだいぶ王都に近付くので、こういった襲撃は少なくなるだろう。
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次回更新は、6月23日午前7時を予定しています。