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KV65の墓 - 猫のタン  作者: 音澤 煙管
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- 第七章 - 十字軍






タンはペルに別れを告げ再び旅に出た。自分の家族ができて少しの時間だったが幸せに過ごせた感じだった。

タン自身に足りないものだったものかもしれない、家族と言う形。

形だけど目には見えないもので結ばれて、其処には存在している大事な事。

特殊な能力なんて要らないから、ずっと家族と過ごしたかった、これがタンの本音だった。


タンにはやらなければならない事がある、その旅をしている。

自覚し始めてからは、孤独感と闘う。

そう思いながら暗い船底の物置で次の到着地のために丸くなって眠るタン。


暫く旅をする。

何処かに船が着港しては下船して、家族が出来る、そしてまた旅に出る‥

人間で言えばジプシーの様な生き方だけど、これが生まれ持っての宿命タンの生き方だ。


やがて、幾つ目になるだろう港へ着く、時もだいぶ過ぎてタンはかなり痩せ細っていた。

着港した港は懐かしい匂いがした、

辺りも見慣れた風景が目に飛び込んでくる。


‥そうだ!


タンは驚いた、生まれ育った街に帰って来たからだ。

時にして何年かかったのだろうか?

ただ嬉しい思いで船を降りた、時間の経過でか、収束したかわからないが疫病が見える事はなかった、少し街の様子も変わっていたが足早に自分の家の教会まで進む事にした。


大通りも裏道も変わってないけど、

建物が随分と大きくなりタンは自分が小さくなったのかと錯覚する。

荷車も馬が引くのではなく自走しているものが殆どで、空の足と呼ばれる足漕ぎドローンもプロペラが付いていない、人間が着ている服装にも変化がある様だった。


周りの景色の変化を気にしながら自分の家を目指す、辺りの疫病は消えているから避ける心配も無く懐かしさを思い出しながら、長旅の疲れも忘れてひたすら歩く。


この街を出た時を思い出す。

きっかけはボス猫に追いかけられた事だった、疫病が纏わりついていたから生きては居ないだろう。

ペルや家族も思い出していた、元気に暮らしてるかな?

今までの事が走馬灯の様にタンの脳裏を掠める。


回想しているうちに、教会の自分の家までやってきた。

屋根には十字架があるけど、出入口の扉には旗が付けてある。

白い生地、真ん中に真っ赤な十字の旗が。

タンが留守の間にも紛争が起きて、疫病を除染出来るものは開発されたは良いが、この教会はヘブライ人が集結した十字軍の本部に変わっていた。






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