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KV65の墓 - 猫のタン  作者: 音澤 煙管
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- 第六章 - 出発の時





旅の途中で出逢った白い猫、

タンはその猫と恋に堕ち家族が出来る

年月が過ぎ、三匹の子供たちと白猫のペルと出逢った家の裏で暮らして居た。運良くこの家のご婦人が優しい人で、毎日の食事と飲み水には困らなかった。唯一、タンはやらなければならない事ばかり考えながら過ごして居た。それは、出て来た自分の街や国を疫病から救う事だ。


生まれ持った特殊な眼で、疫病が見える事。これはタン自身の運命であり宿命と考えて居る。

ペルと出逢ってからの同じ明るい二つの月夜、タンはペルに言った。


「もう子供たちも立派になった、

しかも自分と同じ特殊な能力も持って居る、君も同じ様だな。

隣町まで疫病が広まっている、

よく見れば行き交う人にその菌が付いて居る、少しずつ多くもなって居るから、君は子供たちと過去を出た方が良い。

ぼくも、やらなければならない事があるから此処を出なくてはいけない。」


ペルは黙ってタンの話を聞く。


「君はとても強い猫だ。

この先、何があっても子供たちを守っていけるし、子供たちも君の事を守ってくれるだろう。

時が経てば、子供たちも独り立ちするからその時まで頼んだよ。」


ペルにもわかって居た、いつかはこんな日が来る事を。

ペルは軽くうなずいた。


タンは、この街へ来る途中、船内で拾いずっと体にくくりつけて居た綺麗な石を外し、そのカケラをペルに渡して同じ様に紐でペルの体にくくりつけた。


「これはお守りになるから、

必要な時に使えばいい。

子供たちにも渡して置いてくれ。」


タンはそう言うと、そのまま港へ向かった。寂しい気持ちと、自分の運命を呪い悔しい思いで、振り返りもせずそのまま港へ走って行った。


港へ着いたタンは、出港しそうな船を探して居る。中には、疫病塗れの船もある、動物の勘で疫病が付いた船がどこから来たのかも分かっている。

タンは、成長していくうちに疫病の免疫力も大きくなっていった、船内で拾った綺麗な石のパワーにも助けられて居た。


未だ疫病も付いてない、そこそこ大きな船を見つけその船に跳び乗った。

船の作りは殆ど同じで、船底は物置や食材置き場になって居る。

以前の様にここに身を潜める事にした。


やがて、船は大きく揺れ人間の掛け声が聞こえて来る、この街ともお別れだ。

ペルと子供たち、元気に生き延びろよ、そう心に言って船出の時と成った。

どれくらいの旅でどこへ向かうかはわからないが、タンの宿命でもあり運命でもある旅がまた続く。






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