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KV65の墓 - 猫のタン  作者: 音澤 煙管
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- 第五章 - 求婚者





生まれ育った街を出て疫病に染まる港から船に乗って見ず知らず、行き先もわからず辿り着いた緑がある港。

タンは、これから小旅行と称した生きるための旅をする事を決意した。


船を飛び降り人間たちを避け、走って逃げ込んだ場所は古びた倉庫のような建物だった、ここなら病気も人も居ない。

長い船旅の疲れと、少ししかありつけなかった飲み水を探しに歩く事にした。ボス猫に追われて疫病の港を出た時と同じ様に空には月が二つ並んでいる。この地でもこの月明かりは夜とは思えないくらいとても明るかった、まるで北欧辺りの白夜だ。


逃げ込んだ倉庫伝いに歩いて行くと人家が遠くに見えた、そこを目指して歩くタン。

人家近くの草むらへ潜むと、窓から灯りが漏れて居る。

窓の外側で、小さな影がウロついてるのを見つける、なんだあれ?

動物の感で近づいてみることにした。


よく見ると、真っ白な猫だった。

この家の猫かな?


独りで数日、数週間かわからないが話し相手が欲しかったタン、ここは軽く挨拶をする事にしようと顔が見える所まで忍足で近づく

窓灯りの下、二匹の初対面の猫たち。

鼻息がかかるほど顔を近づける、

お互いの匂いを確認し白い猫はタンの体を擦り始める。


「やぁ!君はここの猫なの?」

「いや、違うよ。

捨てられて迷ってる最中だよ、

これからどうしようかな?って」

「そうか、お腹は空いてるかい?」

「うん、少しだけね。」

「わかった!少し待ってなよ。」

「うん、どうするの?」

「さっきご馳走見つけたから、

今持ってきてあげるよ!」


そう言うと、タンは走って港の方へ向かった。倉庫との間に港で人間の目を盗みくすねた魚を雑草に隠してあったからだ、何かのために保管してあったのだ。タンは、その場所まで行って魚を咥えるとまた白い猫の元へ戻って来た。


「はい、これやるよ!」

「えっ、いいの?ありがとう!」


白い猫は喜んでタンから貰った魚を貪り食べ始める、少しどころかとても空腹の様子だった。

タンも白い猫も喜んでいる様子で、

お礼と言われ飲み水にありつける場所まで案内された。

この夜で、二匹は仲良くなり、暑い日の熱い夜を一緒に過ごしたのだった。


新しい地で過ごすのも今日で何週間になっただろう?一緒に過ごした白い猫はお腹に小さな命を宿していた。


それから二匹は暫くの間、仲良くこの街で過ごしていた。






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