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KV65の墓 - 猫のタン  作者: 音澤 煙管
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- 第十六章 - 戦地へ





ニコルバには秘策があった。

例え、悪しき王さまが率いるパロ軍たちも人の子、死人を出す事は避けたい、どうにかならないか?とそればかりを考えていた。

そこで出来るだけの知恵を絞って出たのが、痺れ薬だった。

今の世界で言う麻酔薬みたいな物だった。

農作物が盛んな街、大人の背丈ほどまでに成長し茎の部分が丈夫な雑穀類。

弓矢や剣、槍などより殺傷能力が低いものと比べたら、この茎で作っている籠の材料を利用して、吹き矢を作り矢の先に痺れ薬を塗れば完成だ。


数週間前からニコルバが、農家に頼んでこの茎の束を天日干ししては果実の汁を塗り、干しては‥の繰り返しで用意して居た。その茎を利用して作った吹き矢の筒、束にしてタンと猫たちの乗る幌馬車へ載せる。

タンたちも、生身の武器だけでは危険だからと、

籠に猫の好物のマタタビを塗布して布で隠してその上に痺れ薬を塗布、自然に爪には痺れ薬が塗られるという算法だ。

他の兵士となる民たちも装備を整え集まってくる。中には女性の姿もあるが、援護となる盾役になるだろう。


準備万全の中、そろそろ合図の鐘の鳴る時間だ。荷車、幌馬車、騎乗している者、総勢数百人にまとまった我ら十字軍。


カーーン、カーーン‥カーーン‥

時の鐘が鳴るとニコルバが叫ぶ、


「皆んな、用意は良いかーッ!

出発の時だぁーッ‥進めーッ!!」


悪しき王の元へ向かう十字軍、

タンたちも幌馬車に乗って移動する。

王の砦までは時間にして二時間ほどかかる、丁度昼食時前だ

この時間なら、気が緩んで居る時。

そこを狙おうと言う牧師たちの計画だった。


ほぼ砂漠地帯に作られた農道、足元は険しい。

小刻みに、時には大きく揺れて居る幌馬車の中でタンと猫たち、その有志を見て居るだけでニコルバは少し足りない勇気をもらって居た。

彼はこの日、生涯で一番眼が輝いて居た、有志で同士の猫たちと同じ顔で。






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