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7. Hk

「ルーズ=アルセン、時間は空いているかい?」


耳の奥底まで響く透き通った声_____一般人はあまりの美しさに言葉と理性を失うだろう。

服装は、一切の乱れが無く、完璧に整っている。明らかにそこらの普通(、、)とは違った雰囲気が違う。

__アルセンは、目を鋭くして目の前に堂々と立っている女性に問う。


「あんた_____だれ?普通、人に質問する時って自己紹介からだよな?」

「それは、失礼。私は、現学園会長 アグナムード所属のレイラン・アルカイルと申します」


やや挑発気味の質問にも、華麗に応じるアルカイル_____周りの生徒は、瞳を輝かせながらアルカイルを見つめている。

それに対してアルセンは、今にも死にそうな目でアルカイルを見た後、口を開いた。


「ああ、学園会長さんでしたかぁ〜」

「はい、ルーズ=アルセン貴方に頼み事があります」

「なに? 」

「ここでは、なんだ 学園長室ではどうですか?」


学園長室は、学園会長しか入ることが出来ない部屋である。

普通の生徒では絶対に入る事が出来ないようで、部屋の中はどうなっているのか?

そんな、疑問が立ち込める中、学園最弱のテクナートが誰も入る事が許されない学園長室に呼ばれるなど、周りの生徒から見たら考えられない程の、苛立つに決まっている。

現に今、アルセンの周りでは犬歯を剝き出しにし戦闘体制の生徒が数人いるのだ。


「へえー、普段入れない学園長室にどうして、俺みたいなテクナートが?」

「無論、重要な話だからです」


真剣にアルセンの瞳をぶれる事無く見詰めるが、その声には何処か『怯え』を感じる。

そんな、少しの『怯え』をアルセンは見逃さない。

__不適な笑みを浮かべ、口を開く


「それだけかな?」

「どういう事です?ルーズ=アルセン」

「__さあ?」

「そうですか……そろそろ、移動したいのですが?」

「わかった、行こうか__学園会長さん?」

「はい__」


__黒く、歴史が詰まっていそうな大きいドア、そのドアをアルカイルはいつも通りの様に何の躊躇いもなくゆっくりと開ける。

部屋の中は、ひっそりと肌寒く薄暗いその中にポツンと一つの机が置いてある。何も無い__只々『無』の空間、そんな空間がアルセンの心を蝕んでいくゆっくりとそして着実に__

アルカイルはドアの前で呆然としたまま立ち止まっているアルセンを置いて机の前に立ち、木の椅子に腰を落としアルセンを冷たい眼差しで見つめ口を開く


「単刀直入に言わせていただきます__私は、ダーロ魔術師団団長(、、、、、、、、、) レイラン・アルカイルです」


アルカイルの透き通った声が全くもって響かない。当たり前だ、アルカイルの発言は響いてはいけない発言なのだから__そして、また『無』に戻る。

今の発言は、流石に予想外だった。学園会長がダーロ魔術師団の団長__考えられない。


突如、アルセンの心に一つの感情が生まれた



____『死』『死』『死』『死』



止まらない心の声、その声が脳内からの指示も、受けずにアルセンの体を動かす。


『爆裂魔法 スーパーノヴァ』


アルセンの左手に、光の様な速さで術式が展開される。『スーパーノヴァ』爆裂魔法の中で2番目の火力を誇る。無論、そこら辺の魔術師では、術式すら展開する事が出来ない。


「はああああああああ!! 」


左手を頭の上に掲げ、『スーパーノヴァ』を解き放つ__瞬間、部屋に小規模の流星爆発が起こり室内が超高温ガスで覆われる。完璧に仕留めた__筈だった(、、、、)


煙が立ち込める中、淡い光を放つアルカイルの左眼……その目は『弱者』を叩きのめす様な鋭く尖った目

やがて、煙は消えアルカイルの姿がアルセンの目の前に現れる。


『個人能力 吸収』


かの力は、『敵』の魔法を吸収し無力化する力を持つ__この個人能力は最小限の者にしか与えられず。世界に約、3人とされている。また、かの力を持つ能力者が『人生の終焉』を迎えた時、この力は次の世代へと受け継がれていく__


「吸収した……だと……」


余りの驚きに、足が震え立っている事すらままならない。今さっき、俺の目の前に立っている女__レイラン・アルカイルは、俺の放った魔法をいとも簡単に吸収し身体に傷一つ付ける事無く何事も無かったかの様な表情で俺を見ている。

この時、思い知らされた。世界は広く。上には上がいる。と言う事を__


「そろそろ、話を進めてよろしいでしょうか?」


響く__アルカイルの冷たい声が。


「_____」

「何か言ってもらわないと困るのですが……」

「_____」

「ご自慢の魔術剣(スペクター)は使わないんですね?如何やら、私の事を相当見下していたのですか?」


響く__冷たく透き通った声が。


「_____」

「はあ……、この方のダメでしたか。では、記憶を消して……」


__記憶を消す。

その言葉が、アルセンをたたき起こした。


「ま、待て……」

「どうしたのです?楽になりますよ?」

「や、やめろ……俺は、お前を__ッ!」


口から吐血し、床に血がポタポタと流れる様に零れ落ちる。

それに対し、アルカイルは表情を変えないまま、弱々しい姿のアルセンを見下す。


「それで、国家魔術師__?国家魔術師も落ちましたね。昔は我々を打破する程の力を持っていたのに」

「__話を……進めろ。」

「そんな、状態で話を? 馬鹿にしてるんですか? 」

「__進めろ!! 」

「はあ……しょうがないですね。では、話しましょう__貴方に、我々ダーロ魔術師団の仲間になって貰いたいのです。」

「_____」

「また無言ですか……では、記憶を__」

「待て……」


アルセンの小さい声が只々『無』の空間に響きわたる。

そんな、反応を見せたアルセンをアルカイルは予想していたかの様に表情を緩め、笑みを浮かべた。


「ふふ……ですよね! 貴方がそんな簡単に記憶を消される訳無いですもんね!」


突如、アルカイルの態度が一変し重い態度から軽い態度へと変貌する。

__そんな、アルカイルを見てアルセンはいつもは見せない無残な表情で口を開いた。


「話を聞く__」


♦♢♦♢


アルセンはダーロ魔術師団団長のアルカイルと面と向かい合い話をしていた。

__アルセンは、先程までの表情からいつもの通りの蔑んだ表情に戻り、アルカイルは見下す様な目付から普段の輝く瞳に戻っている。


「アルセン、君にはダーロ魔術師団の代表として動いて貰いたい」

「は____ッ!?」


アルカイルからの申し出を聞いたアルセンは、部屋の中に響くほどの声を上げる。

普通に考えて、アルカイルからの申し出は完璧にいかれているとしか思えない物であった。

今まで、敵対していた魔術師団の代表になれなど、馬鹿げた話だ。


「分かりませんでしたか? ダーロ魔術師団の代表として動いて貰いたいのです」


__再び、透き通った声でアルセンに申し立てる。


「……断る」

「はあーそうですか……ならば、絶対に私の仲間になる……いや、ならなきゃ気が済まない様にしてあげましょうか」


__アルカイルはそう断言し、アルセンに向け少しの微笑みを浮かべ口を開いた。


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