hoppy birthday
「おい。まだ寝てんのかよ。今日、何の日かわかってんのか?」
「ふぇぇ~何の日だっけ?」
あれ、今日なんかの日だっけ…本当にわからない。そういえば、カレンダーも3か月前からめくってないし、冬休みだから曜日感覚も完全に停止している。昨日も一昨日もずっと絵を描いていてろくに寝ていないし本当に頭が回らない。
「ハァ?わかってんだろ。今日はゆっくりしとけ。」
えっ、言われなくてもそうするつもりだったけど、自分から言ってくるとは…って今日は本当に何の日だあああああああ!!!!!
「えっと、ゆっくりしてていいの?」
ああ、と相槌を打ちながらキッチンの方へ歩いて行ってしまった。あっ、ちょっと…カレンダー、キッチンの食器棚に掛かってるから見れないじゃん。まぁ、せっかくゆっくりしててって言ってるんだから黙って寝ますか。って、行動と言葉と矛盾してないか、起こしてきたくせにゆっくりしててってなんだし!!はぁ、考えるのも疲れるからとりあえず寝よう。
私は、毛布に包まった。うぅ、寒ッ…暖房入れようかな
ごそごそもそっ
ぬぬぬっ。ん…
「おい。寒いんだろ。」
てっ手がああ わわわちょっと待って下さいよ心の準備が・・・
「ん?寒くないなら出て行くけど」
えーっと、私の手は彼の裾を掴んでいた。ふっ、彼は鼻で笑った。ちょ、そっちから入って来たくせに。
「おい、起きろ。飯出来たぞ。」
おっ、こんなに寝てしまっていたのか。っていつの間に出て行っていたのね
「おい、食べるだろ?」
キッチンから声が飛んできた。
「うん、食べるよ。」
毛布を肩に掛け椅子に座るといきなり電気が消えた。
あれ、停電かな・・・?
・・・・・・・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
ん…んっあっ///
「ちょっと、いきなり何っ…?」
「えっ、何ってキスしただけだよ。ん?怒ってんの?」
だって・・・。声が真後ろから聞こえた。
「起こってないけど。」
「その声怒ってるでしょ」
彼はマッチで蝋燭に火を点けた。なんだ、この変な雰囲気は…
「ちょっと待ってね。ご飯運ぶから。」
「あ、うん…。」
なんでだ…なんで今日はこんなに優しいんだ?
「はい、これ。お茶漬け どうぞ。」
ええええええお茶漬け?この雰囲気でお茶…漬け?ってお茶漬けってお湯かけりゃすぐできるやん!
「えっと…なぜお茶漬け?」
「えっ、だっていつも食べてるじゃん。」
そりゃまぁ、楽だからいつもお茶漬けだけど…別に好物じゃないし
「別にお茶漬け好きなわけじゃないよ・・・。」
「うっ、うるせーな。黙って食え。」
あっ、きっと料理出来ないんだな。キッチンにいること初めて見た気もするし
「はは、りょーりできな… 「うっせーな。」
おお、怖い怖い。じゃあ、食べてみますか。
「いただきます。」
ん…まぁ、普通にいつものお茶漬けだ。
「ケーキ、食べるだろ。」
「ん?ケーキ?あるの?食べたい!食べたい!」
はい。テーブルに不格好なチョコレートケーキが運ばれてきた。そのケーキのチョコプレートに、白い汚い字で「hoppy birthday」と書かれていた。これじゃ「ホッピー バースディ」じゃん。Happy書けないのにbirthday書けたんだ。怒られそうだから心の中で笑った。
「どう?結構うまいだろ!」
いやぁ…そんなドヤ顔されても…。ってそういえば今日誕生日か。
あっ、なるほどね。だからいつもより優しかったのか。
ケーキを切ってお皿に分けてくれた。
「Happy birthday」
「ふふ、ありがと。でもそれじゃあホッピーバースディだよ。」
「あっ…うっ、そんなのどーでもいいだろ。」
見た目は残念な感じだったけれどとても美味しかった。ただ…キッチンが最悪なことに。ケーキを作るのに使った器具は、全部私が洗うことになった。