プロローグ デート→転落
彼女、春原希美は美人である。100人が100人……は、まぁいい過ぎだとしても、90人くらいは賛同してくれるだろう。暗いなどとほざく愚か者も微々いるが、勘違いも甚だしい。やつらには彼女の常人とは違う神々しさがわからないのだ。あれはクールと言うべきであって、暗いなどという評価は愚かしいにも程がある。たしかにあまり喋らないし、なかなかわらってくれないしデートの時くらいもっと楽しそうにしてくれてもいいと思うんだけどなぁ……
「ねえ?」
「え?」
しまった、俺としたことがデート中に彼女の言葉を聞き逃すなんて!!……ただでさえ希少な言葉なのに!!
「ごめんボーっとしてた……何?」
「せっかくだから、参拝してかない?……合格祈願とか」
彼女の目をおってみると、少し寂れた感のある神社があった。
「あ、うん。そうだね。せっかくだし、行ってみようか!」
そう言って俺たちは神社へ向かった。
俺はこの先何度もこのときを振り返っては後悔する。
嗚呼!なんで俺はこのとき断らなかったんだ!
まぁ、彼女の提案を断れるわけなんてなかったんだけどね。
「なあ……今度ピクニックいかない?」
なんてことを彼女に言ったのは先週の金曜のことである。正直、女の子は疲れるハイキングなんかには興味をしめさないかもしれないと思っていた。でも、ここのところ映画や海などの定番系はほとんど制覇してしまったので、こっちも困ってたのだ。もちろん俺自身としては、彼女といれるならどこでも構わないのだが。
だから、
「……いいよ」
と彼女が言った瞬間奇声をあげてガッツポーズをした俺を誰が責められるだろう。誰であろうと責められるはずがないっ!!
そして翌週の土曜日、揚々とハイキングに行き、それなりの景色と空気と美しい彼女を堪能して帰り道、その神社にさしかかったわけである。
それにしても結構歩いたのに全然平気そうだ。そんなスポーティーなところなんかも好きなのだが。
とりあえずも御参りをすませ(俺の世界が平和でありますように)さあ帰ろうかと彼女の手を握ろうとした瞬間、突然足もとに漆黒の闇が広がった。
「なぁっ!?」
落とし穴!?と叫ぶ間もなく俺はその穴に落ちた。彼女と一緒に。
「っ!!」
彼女が必死にこっちに手を伸ばしてくる。俺も必至に手を伸ばすが、届かない。
……希美のあんな必死な顔なんて初めて見るな…………
なんて、てんで場違いなことを思いながら、俺は漆黒の闇にのみ込まれていった……
………
……
…
そして結論から言えば、神様は俺の願い事なんか完璧に無視した。
初めまして。今日から異世界戦記物を書いていきます。
稚拙な文で読みにくいところもあると思いますが、よろしくお願いします。