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~店舗特訓と橘店長~

・・・・・本日晴天、宿題よし(数学?そんなもんは知らん)、服装よし、ムシカゴ充電完了。


「よっしゃぁッ!やるぞ特訓ッ!!」


「・・・・なに熱くなってんの。さっさと行くわよ~~。」


・・・・と、目の前の幼馴染、涼子はボヤく。

この女、人の貴重な休日日曜日を潰しておいて何の反省もなしと。・・・さいですか。


・・・・・店舗特訓行くって言ったのは俺だけどさあ・・・・。




~~~~~~~~~~

ーーーーーーーーーーショウラン商店街前




「んで、そのおすすめの店ってのは何処にあるんだ?」


「駅前の商店街突っ切って200メートル程歩いたところね。」



そんな会話をつづけながら、淡々と人ごみの中を歩いていく。

日曜日だけあって人の量がすさまじい。

決まってそういう所には仲睦まじく手をつないでいる人もいる(リア充ば(ry)。



「そういえば、博士は不参加なのか?」


「一応聞いたんだけどね、塾があるから無理だそうよ。」


「・・・・・優等生様は違いますねえ・・・・。」


「はいはい、そう邪険にしない!」



そんなこと言われたって成績優秀者は敵なのだよ。




~~~~~~~~~~

ーーーーーーーーーータチバナ玩具店前




「・・・・・ついたわよ!」


「・・・・こりゃまた随分と年季の入った店ですな・・・・。」



ふと見上げてみてそう思う。何ていうんだろう、昭和の雰囲気というかなんというか、オッサン世代なら分かるだろうか?このにじみ出る年季オーラ。


そんな俺の顔を見てか涼子は、



「大丈夫大丈夫、こんな見た目でも、中には一式流行りのものを揃えてるから!

あんただって、修行するのにがやがやとうるさい場所は嫌でしょ?」



まあ確かに。個人的にうるさい場所は苦手だ。とても助かる。



「それはありがたいね。」


「じゃあ、中に入りましょうか。」



そういうと涼子は、店のドアを押し開けた。




~~~~~~~~~~

ーーーーーーーーーー橘玩具店店内




「店長いる~~~~?」


「お~う。その声は涼子ちゃんかい?」



涼子の第一声に連れられて、店のカウンターの奥から若い眼鏡男が顔を出した。

・・・・うん、正直、この店に不釣り合いなイケメンである。しかし何だろう、この感じは・・・。

曲者臭が半端ないぞ・・・・・。



「彼氏連れとは、見せつけてくれるね~~。」


「「違います。」」



珍しく完全一致のタイミングで否定の声が上がった。



「息もぴったりでないの。」


「ほんとに、違うったら違うんですっ!!」



・・・・この涼子がここまで焦るとは珍しい。

そんなに俺を彼氏扱いされたのが嫌だったかな?

・・・・・・自分モテないのにはなれてますもんね(^q^)。


「はは、まあ茶番はそんなところにしておいて、何の用事で今日は来たのかな?」


「こいつがムシカゴの特訓したいって。」



おい、思いっきり指をさして言うな、指を。



「・・・・ふむ、それじゃあ、ムシカゴ、見せてくれるかい?」


「ああ、はい。お願いします。」



そうしてムシカゴを渡すと、(怪しい)店長は謎のスキャナーにムシカゴをセットする。



「これはね、公認店舗に置いてあるムシカゴ登録用の機械だよ。

20、60、80、98・・・・・100%!」


「ほい登録完了だ。これで、我が店を初めとして、ムシカゴ・・・というよりは、『U・T社』公認の店舗なら、店舗特訓ができるようになりましたよん。」


「どうも有り難うございます。」



そういってお礼を言うと、ムシカゴを受け取った。



「・・・・・そうだ!このまま帰るのもあれだし、響、店長とバトルして言ったら?」


「え~、でも自分弱いですよ~。」



と、弱気な間延びした声で店長が遠慮する。


・・・・・・お?これもしかして初勝利パターンじゃね?



「いやいや、そんなこと言わずにやりましょうよ~。僕も弱いですし。」



すかさず店長が引っこまないよう牽制をかける。



「・・・・うーむ、では、一戦交えてみるかあ。動作確認のいい機会だし。」


「決まりね、それじゃあ、さっさとはじめましょう!」


「うしっ(ニヤッ)、じゃあやりますか!」




~~~~~~~~~~





【カブトムシ(ヤマトカブト)VS?????????(当てられますかな)】


響→響     店長→店     涼子→涼 表記に変更




店「バトルスタジアムはうちの店の物を貸します。

今回はスタンダードな『コロシアム』でバトってもらいますよん。」


響「はい、わかりました。では早速・・・・・・。」



響「やるぞ、ヤマトッ。」



『ガアアアアアアッ』



威勢のいい羽音とともにヤマトカブトの姿が現れる。



涼「・・・・・あんたいつの間にあだ名付けたのよ・・・。」


響「ずっとカブトムシ言う訳にはいかんだろうが。」



店「それじゃあ私も。スイッチオン!」



『ドズウウウンッ・・・・』



響「・・・・・・え゛っ」



スタジアムが揺れる。・・・・・・・え、あれでかくねえっ??



店「私のムシは『サターンオオカブト』。気性はおとなしいムシですから安心してください。」


にっこり顔で店長が説明する。



響「いや、そういう問題ではなく。」


ヘラクレスオオカブトまでは行かないにしろ、目測で10センチ以上はあるんじゃないか。

(そして名前が怖い)


・・・・・・だが、動きは遅そうだ(店長もおとなしい言うてるし)。

ならば先手必勝!先に仕掛ける!



響「滑空からの突撃だッ!突っ込め!」



ヤマトをサタンオオカブト狙って一直線に突っ込ませる。


店「おおっ?」


店「そうはさせませんよ?」



店長のムシもカウンターの姿勢を構える。


だがしかしーーーーーーあたる直前、急速旋回で一気に後へ回り込んだ。


店「ありっ?!」


響「貰いましたっ!」





・・・・お互いの体躯が接触し、砂煙が上がるーーーーーー。

どーだ博士から教わった飛行テク。そして・・・・・・・




響(すぐに離脱して追撃を・・・・!)



響「ーーーーん・・・・・・反応がない・・?」




・・・・・おかしい、ムシはプレイヤーの思考で瞬時に動く。なんで戻ってこない?


ーーーーーーーー考える間もなく、砂煙が晴れてきた・・・・。








『ギチッ・・・・・ギチッ・・・・』



響「・・・・・・!!?」


店「駄目ですよお、不意打ちなんて・・・・。」


目に飛び込んだ光景は、角でギチギチと絞められもがく自分のムシの姿。



響(・・・・・・・おいおい、嘘だろ?確実に死角からの一撃だったぞ?

スピードだって涼子と戦ったときよりも上がっているってのに?

銃弾の弾道目ェつぶって見切ってはじき落としたようなもんじゃないかーーーーー)



響「・・・・ちょっと予想外・・・。」


弱いって嘘だ絶対嘘だ間違いなく嘘だ。


店「それじゃあ、特訓という事なのでどんどんやっちゃいましょうか。」


『バゴオオッ!』


思いっきり地面に叩き付けられる。


響「ッツ!!」



響(不味い!今さっきでかなりダメージを貰ったはずだ!

早く飛んで離脱をーーーーーー。)


そうして羽を開いた飛び上がった刹那ーーーーーー。




店「あ、それっ!」


響「!??」


『ズガガガガガアアッ!!』


空中バランスを崩して地面を転がる形で吹っ飛ばされた。


響「ッ!もう一度飛べッ!」


響(・・・・・・・羽が開かない!!?)


店「これでもう飛べないねえ?」



ーーーーーーよくよく観察すると、両翼に穴が開いている!


響(あの一瞬で両側の羽に穴を開けた・・・・・・?どういうテクだよ!)


店「どうしました?これでおしまいかな?」




響「・・・・・あきらめは悪いほうなんですよねっ!」



・・・・・・どんなに勝てなさそうだろうが、せめて一泡吹かせてやる。

ここまできたらもう意地だ意地!



響「ーーーーーーー《特殊能力》発動ーーーーーー

硬化デュロ】!」


そしてーーーーーー

響「【底力アウェイク】ッ!!」



ーーーーーーヤマトカブトの全身から黄金色こがねいろの風が吹き出す。

コレ(底力)が発動できたってことは、もう瀕死状態な訳だ。



響「・・・・せめて一発、当ててみせますよ!潜れ!」



先程叩き付けられて、もろくなった石床を砕いて潜行する。

【硬化】が発動している間だけなんとか掘り進める。



店「地面から攻撃する気ですか?そうはさせませんよ!」


店長のムシが、天井ギリギリの所でホバリングを始める。




店「さあ、これで地面からの奇襲は不可能となりましたよ。どうしますか?」



・・・・・・確かに、高いところを飛ばれては、地面からの一撃は届かない・・・・。

ポ〇モンで飛行タイプに地面タイプの技が当たらないようなものだ。


・・・・だがしかし


響(俺が狙っているのは・・・・。)







響「ーーーーーーそこだっ!!」



『ゴガガガガガガガッ』





ーーーーーー店長が大きく目を見開く・・・・。




店「---------上からッ?!」



『バゴオオオオッ』


天井が崩れ落ち、ヤマトカブトがサタンオオカブトに屈強な四肢でしがみつく。



店「・・・・・地面から伸びる柱の中を直角に掘り進み、天井から奇襲をかけましたか!」


響「どんなもんでい!」



思いの外うまくいったぞ!

ーーーーーーーーそして試してみるか!友人二人を打ち負かすためにない頭ひねって編み出したオリジナル必殺技ッ!!



残存しているほぼ全ての活動エネルギーを一点ーーーーー頭部に集中させる・・・・・。


店「ああ、こりゃまずいな!!」


店長が危険を察知したのか、サタンオオカブトがより一層激しく乱れる。

こちらを叩き落とそうという魂胆なのだろう。このままだと石壁にぶつけてくるかもしれない。

・・・・・・だが、カブトムシの脚は交尾の時や樹木に身体を固定させるために鋭く発達している。

・・・・・・と言ってももうしがみついていられるのも時間の問題だ。



ーーーーーーーーーだからこれで決める!

ーーーーーー角から紅い炎が噴き出す。


響「必殺ッーーーーーーーー!」






ーーーーーーーー『烈火割れっかわりイイイイイイイイイッ!!!』





涼「きゃあぁっ!?」


店「うおっ・・・・?!」



振り下ろした角がサタンオオカブトに接触した瞬間、スタジアムのみならず店内もが紅く灼熱に包まれた。『伊達や酔狂でこんな頭をしているのではない』さ(スーパーロボット大戦OGより・キョウスケナンブ)。


ーーーーーー頼む、倒れててくれよ・・・・・・・・。





ーーーーーーーー焼け焦げたスタジアムには、横転したサタンオオカブトの姿。そしてーーーー



悠然と脚を突き立てるヤマトカブトの姿があった。



響「い、いよっしゃ勝っ・・・・・・!」



『バゴアアアアッ!』




・・・・・・・・瞬間、ヤマトカブトが宙に舞う。



ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【GAMESET】勝者・橘店長



~~~~~~~~~~






「『僕は勝てましぇん』\(^o^)/・・・・・・・・・・・・・。」


「あんた、大丈夫?頭に黒い棒線が浮き出てるけど。」



滲み出る負のオーラを霧散させながらそうつぶやく。

そう、あの一瞬、勝利を確信した瞬間にカウンターを決められたのである。

一瞬、思考が纏まらなくなったほどの衝撃だった。



「まあ、店長相手に良くやったほうよ!あのひと、とんでもなく強いし(^^)。」


「やっぱクッソつええじゃんかお前ええええええええええええッ!!!

この人でなしがあああッ(泣)!!」


「まぁま、そう責めないであげてくださいよ!僕としてもとても楽しかったですし!」


「・・・・・・フォローなんて聞き飽きたんですよ!!」



うあああああああ、今回は勝ったと思ったのにいっ・・・・・!



「いつまでも落ち込んでる訳にはいかないでしょっ!ほら、私でよければ何度だって対戦してあげるから、特訓するわよ!」



そういってムシカゴを差し出される。



「・・・・・・そうだ!経験値稼ぎに特訓モード追加データどうよ。

一つ1300円ですよん。」


「中学生の財布事情にはちと厳しいな!」



変な所で商魂たくましいなこの人は・・・・・・。

でももう今日は勘べーーーーーーー



『カランカラン』


突如として店のドアがあく。




「ーーーーーーああ!やっぱりここにいましたか。」



ーーーーーーーーーーーーーーーこの声は、




ーーーーーーーーーー「「博士ッ!?」」

図鑑:サターンオオカブト(サタンオオカブト)

橘店長の使用するムシ。ヘラクレス科で三番目に大きくなる。

1500メートルの高所に生息しているため熱さに弱い。

かなりのレアものであり、野生個体の入手は非常に困難。

かなりずんぐりとした体形、素早いバトルを可能とするのは店長の力量ゆえだろう。


人物図鑑:橘店長

橘玩具店の店主。

イケメン・メガネ・ドエスと謎の三拍子を持つ。

外見イメージは金田一耕助がモデル。

しかし、かなりの実力者・・・・かもしれない。


語群辞典


UT社:ムシカゴの開発、製造を担う大型企業。ゲームのほかにも、家電など様々な電子機器に精通している。


バトルスタジアム:ムシカゴを接続させて使う簡易闘技場のようなもの。

様々な種類が存在する。


『伊達や酔狂でこんな頭をしているのではない』

かのスーパーロボット大戦の静かな熱血漢主人公、『キョウスケ・ナンブ』の戦闘セリフ。響君の必殺技はこのセリフの発言技がモデル。

ちなみに、彼の愛器には『角』がついている。


『僕は勝てましぇん』

元ネタはフジテレビ系列のドラマ、『101回目のプロポーズ』にて、星野達郎(武田鉄矢)が発したセリフ、『僕は死にましぇん!!』である。ちな、流行語大賞をとったこともある。


烈火割:響君待望の必殺技。どっからどう見てもアルト〇イゼンですありがとうございました。

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