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なんと、お気に入り登録が2桁になりました!
皆さんありがとうごさいます。
こんな、拙い作品ですが宜しくお願いします!
今回は、エルトの独白です。
ーさて、どこに行こうか。
私は、これから歩み出す景色をを目下に呑気な事を考えていた。
私の家族が殺されてから、5日もの時間がたった。まだ、太陽も出てきていない。
お母さんと別れを告げてから、1時間ほど泣き続けた。いや、1時間で頑張って泣き止んだ、と言った方が正しい。だって、ずっと泣いてたら皆が心配して《果ての楽園》(……えっと、神竜族にとっての天国の様なもので、死んだご先祖様達がそこで住んでるらしいのです。)に行けないと思ったから。皆の事だから、自分達の事より私の事を優先すると思うの。気にしてくれるのは嬉しいけど、私としては心配をかけたくないから、泣き止めるのを頑張った。
泣き止んだ後、皆の亡骸を一カ所に集めて、皆の神魔石と鱗を一枚ずつとってから、燃やした。本当は燃やしたく無かったけど私がずっと持ち続ける事は不可能だし、人間に利用されるのが嫌だった。竜族は頭のてっぺんから爪の先まで素材となる。魔力か多いため質も良く、手に入れにくいので、とても高い値段で取引される。分かりやすくすれば、鱗一個売るだけで4~6人ぐらいの家族が一生、お金を湧き水のごとく使っても3分の1以上残るほどだ。普通の竜族でそうなのだから、それが神竜族になった場合……働くのが阿呆らしくなるほど貰えるだろう。
5分ほど黙祷を捧げる。
轟々と音をたてて燃える炎を見ながら、お母さんの最期の言葉の意味を考える。
ーー復讐に捕らわれてはならない。ーー
普通に考えて無理なお願いだ。私は、自分が受けた傷を笑って我慢出来る、聖女のような気質は持ってない。それどころか、やられたら何10倍にしてやり返す、やり返し精神を持っている。なぜ復讐しては駄目なのか。そんな疑問が沸々とわいてくる。
気づけば太陽が半分程顔を覗かしていた。
ふと、目線を逸らせば少しずつ活動し始める人間達が住む、だいぶ遠くにある街が見えた。あそこに住む人間達はこれから、家族に「おはよう。」と告げ、笑いながら朝の食卓を囲むことだろう。
そう思うと、怒りが湧いてくる。私はもう家族と挨拶は出来ないし、笑いあう事だって出来ない。なのに、人間達は、当たり前のようにそれを行う。
嗚呼、人間達を殺してやりたい。そうすれば、私の気持ちに気づいてくれるだろうか。
……はぁ、こんな考えを持ってはいけないのに。これではまるっきりお母さんの言葉を無視している。どうしたらいいの……?
そんな時、ふと、お父さんの言葉を思い出す。
ーー色々な所に旅をすると、色んな事が知れて自分が持っている価値観が表から裏返したように変わることがあるんだ。ーー
急に思い出した言葉にヒントがありとてもびっくりする。もしかしたら、皆からの私に旅に出ろって言うお告げなのかもしれない。
あはは、そんな訳ないか。でも、旅に出るのもいいかもしれない。
…………うん。じゃあ、皆の言う通り旅に出てみようかな。色々な物に触れて行けばこんな考えは変わっていくのかもしれない。
私は、目の前の炎に言葉を投げかける。
「皆、私。旅に出ていきます。」
炎がまるで返事をするかのように揺らめく。
読んで下さってありがとうございます。