~10~
物凄く更新が遅くなり、申し訳ありません。
これからは、もう少し早く更新していきたいと思います。
また、今回の本文はまた全然進みません。
本当に申し訳ありません。
「さぁ、もう少しで見えてくるよ!」
ロイが嬉々として言う。
その言葉に足元を見ていた目線を上げると、如何にも見栄えを頑張りました感たっぷりの城壁が見えてきた。しかし、その城壁をよく見れば魔法の壁がドーム状に囲っていた。
「魔法壁か……。」
私は、一人ごとにように呟く。
「おや、リア様あれが見えるのですか?珍しいですね。あれには、隠蔽の魔法もかけてあるはずなのですが……。」
それを聞いたラングレーが、首を傾げる。
「いや、城壁にはよく魔法かけてあると聞いてな。悪いが、見えている訳ではない。」
私は、冷や汗をかきながら先ほどの言葉を繕う。ボロが出ないか心配になる。
「あはは、もし本当に魔法壁が見えたら宮廷魔導士より魔力が高いことになっちゃうよ。……まぁ、リアさんならあり得そうだけど。」
ヴァロージャが、意味ありげにくすくす笑いながら言う。
やはり、一番こいつに気を付けなければならない。
「ねぇ、みんな!!もうすぐで城門だよ!」
ロイはそんな事に気付かず、目をキラキラ輝かせながら、無邪気にはしゃぐ。
「ロイ、そんなにはしゃいでははしたないですよ。」
「くすくす。初めて通る訳じないでしょ。はしゃいでも……ぷっ…、何も出てこないよ。」
そんな様子を見たラングレーとヴァロージャの2人が、ロイを窘める。ヴァロージャは、訳が分からないがつぼにはまったらしく、くすくす笑い続ける。
「な、ヴ、ヴァロ!!笑うなんてひどいよ!別に、はしゃいでいる訳じゃないよ。ただ、リアさんと初めて城門をくぐるから、楽しみで…。リアさんも楽しみだよね!?」
ロイはヴァロに怒ってたかと思うと、急に私に振ってくる。なぜそこで私に振ってくる!!
「あぁ、た、楽しみ…だ?」
「くす…。疑問系だし。……ぷっ、あはははははは。駄目だ。笑いが、あはは、止まらない。あははははははは。」
「……ヴァロ、あなた笑いすぎですよ。」
ラングレーは、ジト目でヴァロージャを見るが、それに構わずヴァロージャは目に涙を溜めながら、先程より大きな声で笑い出す。ロイは顔を真っ赤に染める。
「いいもん。リアさんと2人だけで行ってやる!!リアさん、行こ!」
そう言ってロイは、私の手を掴み走り出す。何故私が一緒に行くことになるんだ!てか、いいもんってなんだ。お前は女子か。
「おい!!」
私は、声をかけるが、ロイは私の声に反応しない。どうやら、走るのに必死で聞こえてないようだ。
走り出してすぐに目の前が開け、大きな門と小さな門があり、小さな門の前に門兵らしき人物がおり、その近くに数十人の旅人や商人など列をなしていた。
ロイは、列の後ろにつきながら、息を整える。その様子を眺めながら、私は身分証明書などのような物を持ってない事を思い出す。これでは入いれなのでは、と焦りが募る。
「……。ロイ、私は身分証明書を持ってないのだが、それでも入れるのか?」
ロイに尋ねる。さっきとは、違う意味で汗だらだらだ。
「あっ!!ごめん。そのこと説明してなかったね。身分証明書が無い人間が入るためには、銀貨一枚と保証人が必要で銀貨一枚は僕が出すし、保証人も僕がやるから、リアさんは心配する必要は無いよ。あと、入った後に身分証明書を作ってもらって、それをまたここに見せに来るんだよ!」
ふむ、それならよかった。しかし、銀貨が必要だとは…。
「…銀貨は、戻ってくるのか?」
「ん?半分は戻ってくるよ。でも、どうして?」
「いや、人に借金をするのは余り好きでは無いのでね。今は、銀貨を無いが多分、素材換金で銀貨が手に入る筈だ。その時に、必ず返す。」
私が出す。と言いたかったが、銀貨などという人間の文明を持ってる筈ないし、私が今持っているのは、宝物として集めてきた毛皮や天然石などだけだ。結構保存状態も質も良いから、素材換金などでお金に替えられるはずだ。しかし、銀貨の価値がどれくらいなのか…。そこだけが心配だ。
「別に銀貨一枚ぐらいで、返せどうのこうの言わないよ。だから、気にしなくていいよ!でも、どうしても気になるならリアさんへの未来への投資って事でいいかな?」
もし、リアさんが有名人とかになったら僕のおかげってことで、とロイは笑いながら付け足す。
「わかった。助かる。」
「いいって、いいって。」
そんなことを話しているうちに、私の番になっていた。
「次の者、此方へ!」
門兵が声高らかに私達を呼ぶ。
「はーい。今行きまーす。」
ロイが元気に返答をし、門兵の前まで行く。それに従い、私もロイについて行く。
「って、なんだロイの坊主じゃねぇか。ヴァロとランの奴らと一緒じゃねぇんだな。というか、お前の隣の黒フード野郎は誰だ?」
「キナリのおじさん!!その言い方は駄目だよ!この人は、空白の森で僕を助けてくれたリアさんだよ!」
「どうも。」
どうやら、門兵の1人はキナリと言うらしい。もう一人は、違う人をチェックをしている。
「そうなのか、すまなかったリアとやら。こいつ、お人好しすぎるから、ついに悪やつに騙さたのかと…。えっと、要するに、疑ってわるかった。ロイを助けてくれて、ありがとうよ。」
「別に。たまたまだ。」
キナリは咳払いをする。
「おっと、よそ事話してる場合じゃねぇな。じゃあ、身分証明書をみせてくれ。」
「おじさん。その事なんだけど、リアさん身分証明書を持ってないんだよ。だから、はいっ!銀貨一枚と、保証人である僕の証明書!丨オープンステータス」
ロイが叫んだと同時に、薄く輝く長方形のような物がでてくる。あれが、身分証明書なのか?
「もういいぞ。取りあえず銀貨は預かっておく。そいつの身分証明書を作ったら、俺に見せにこい。」
「ありがと、おじさん。さぁ、リアさん行こ!!」
「あぁ…。」
身分証明書のような物が消えると、ロイはまた私の手を掴み走りだす。小さな門をくぐると、そこには沢山の人間が和気あいあいとしていた。
「ここが、人間の住む街…。」
人間普通に生活出来ている所をみて、また心の中にドロドロとしたものが込み上げてきた。小さく頭をふり、ドロドロを振り落そうとするが、上手くできない。
ロイは、手を離し笑顔で此方を見る。その笑顔を見た瞬間、すっとドロドロがいなくなる。とても、不思議だった。
「ここが僕たちの拠点としている街。準王都、オールビースだよ!!」
その時の私の耳には、ロイの説明は届いて来なかった。そのため後で怒られてしまうのだが。
しかし、人の笑顔は悪いものではない、と知ることが出来た。それだけで充分だった。
駄文を最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
誤字、脱字などございましたら、感想欄にて報告して頂けると幸いです。