第七話
普通…他のクラスならばこの時間はクラスメイト達の自己紹介などを行っているのだろうが、リゼルのいるSクラスは違った。
「…で、女子達は許可なくリーくんに話しかけないこと!連絡事項など、どうしてもという場合以外はわたしから許可を得てから話しかけること!無断で話しかけたら…ファイアランスで頭の毛根死滅させるからね」
少女勇者…いや、もう馬鹿勇者で良いだろう。
彼女の発言にクラスは凍りついた。
女子達は怯えているのか身体を震わせ瞳には涙を浮かべている、男子達も馬鹿勇者の「リーくんを虐めた場合」という件で既に撃沈している。
リゼルといえばやはり身体を震わせているが、彼の場合恐怖からくる震えではない…怒りだ。
リゼルとて、学園生活はそれなりに楽しみにしていたし、故郷に残してきた両親や友人達に、学園の生活を土産話として面白おかしく話すつもりでいたのだ。
それなのに馬鹿勇者のせいで、学園での楽しい生活はぶち壊されたも同然であるのだ、怒らない筈もない…
「先生なんてだいっ嫌いだ!!」
そんな捨て台詞とともにクラスを飛び出していったリゼルを、誰が責めることが出来ようか…
「あっ!リーくんどこいくの!?…でも…先生…か…悪くない、女教師とショタ生徒のいけない放課後…とか」
この馬鹿勇者は、全力で責めて良いと思う。