第六話
「…であるからして、諸君らは晴れてオリオール魔導学園の生徒となり…」
リゼル七歳の秋、彼は魔導学園講堂で入園式典に参加していた。
もちろん、魔導学園新入生として…
魔力の開放は新入生では平均より少し上程度に、スキルは戦闘系は隠蔽したままで『鑑定』と『結界』のみ隠蔽解除した、『鑑定』だけでも将来を約束されたようなスキルなのだが、より良い教育を受けるためには今一つ足りない…そう考えたリゼルは『結界』という上位スキルの解除も行ったのだ。
これで、学園内でも更にエリートコースなスペシャルクラス…Sクラスへと編入されるだろう。
式典を終えたリゼル達新入生一同は、緊張した面持ちで先導する講師に導かれ、それぞれのクラスへと向かいそれぞれの席につき担当講師の到着を待つ…
まだクラスに会話はなく、誰も彼も緊張している様子でいる。
そんな中、唐突に教室のドアがガラリと開き…
「はぁい!Sクラス担当講師の一ノ瀬葵でーす!リーくんは卒業まで一緒だからね」
少女勇者その人であった…
小細工とはこのことかと、勇者という権力を好き放題使いやがって、とリゼルは考えたが少女勇者の暴走はそれだけではなかった。
「あと、わたしも寮生活なので当然リーくんと同室です!むふん」
呆然とするクラスメイト達をよそに、リゼルはワナワナと震えている…
今にも叫びたいのを必死で抑え込み、何とか平静を保つリゼル。
彼の苦難はまだまだこれからだ。