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第一話
歴代最強と謡われた魔王レンブランド
ある日、魔王討伐へとやって来た一人の勇者を返り討ちにするが、見た目少女の勇者に情けをかけ、命を奪うことはしなかった…
それが、魔王レンブランドの不幸の始まりであるとは、まだ彼は知らない…
魔族の慣習に従い、千年守り続けた魔王の座を次代魔王へと引き継ぎ、輪廻転生すべく魂の坩堝へと身を投げた魔王レンブランド…
薄れる意識の中、再び魔族の子へと転生すると思い込んでいたレンブランドだったのだが…
『何故君がいる!?』
そう、心の叫びを上げた元魔王レンブランドの目の前には自身を見下ろす見覚えのある少女…勇者だった。
赤子である者を見るとは違う、親の仇でも見るような冷めた視線で元魔王を見つめる少女勇者。
これが、元魔王レンブランド…人間の赤子へと転生してしまった彼の、不幸の始まりである。