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第68話 老夫婦

ご無沙汰しております。

色々積もる話は後書きで。


それではどうぞ。


え、何、話が思い出せない? 読み直してくださるとPVが増えて作者が喜びますよ!(ゲス顔)



カタンッ


車輪が小さな石にでも乗り上げたのか、小さく振動する。その振動で目が覚め、視界を雲が流れる青い空が覆い尽くす。


馬の蹄が地面を蹴る音が規則正しく耳を打ち、時折馬に鞭打つ鋭い音が混じる。


「おや、お目覚めかね?」


「すいません、眠ってしまっていたようですッ」


起き上がろうとして、また傷口が開きかけたのか痛みが走る。


「起きなくてええ、怪我が酷いんじゃろう?」


「すみません……」


「傷が開かんよう、横になってなさい。高級羽毛布団とはいかんが、ないよりはましじゃて」


御者の席から投げかけられる老夫婦の優しい言葉に甘え、フランは再び横になる。


屋敷を飛び出し、裏路地を通って町を出て、しばらく道なりに歩いていたが数キロと歩くことなく体が悲鳴を上げ始めた。仕方なく道端の気に寄りかかってなけなしの体力を回復させていたところを通りがかってくれたのがこの老夫婦の馬車だ。


2人はフードの隙間から覗くフランの体を見て怪我人だと気が付くと町の病院まで送ってやると言ってくれた。屋敷を飛び出してきた手前、そのような事は出来ないフランは丁重にお断りをしたのだが、すると何か訳があるのかと思ったのかとりあえず乗りなさいと言われた。


断ろうにも、馬車から降りてきた老夫婦は予想以上に力が強く、フランも下手に暴れられないためあえなくご用となった。その後は何も聞かずヘラの町とは逆の方角に馬車が進んでいったので、ひとまず安心して眠ってしまったようだ。


「お嬢ちゃん、どこか行くあてはあるのかい?」


「……いえ」


馬車の荷台からか細くそう言うと、老夫婦は何やらブツブツと話し合い始めた。


年頃の女の子がまともな旅支度もなく、歩くこともままならない状態で町を飛び出すところに遭遇したのだから、いろいろ気になる事があるのだろう。


(今頃、お嬢様たちは大騒ぎしているでしょうか)


特にテトは大騒ぎしている事だろう。


その姿が容易に想像できてしまう。


黙って出てきてしまった事は申し訳ないと思っているが、かといって話して承諾してくれる見込みもなかった。当然、行くあてがあるわけでもなく、怪我が治るまで路頭を迷う事にもなりかねなかった。


(その方が傷の治り、悪そうですね……)


自分の無計画さに改めて苦笑する。


「まあ、なんじゃ。行くあてがないのじゃったら、儂らの家にでも来んか?」


「それは、拾っていただいた上に宿代わりになどできません。手ごろな所で降ろしてください」


「そうは言っても、お嬢ちゃん傷だらけじゃろう。こちらも乗せてしまった手前、そんな状態の子をほっぽり出すなんて出来ん」


老夫婦は丁寧な口調ではありながら、フランの身を気遣って少々強く言葉を紡ぐ。


フランとしてはそこまでお世話になるのは気が引けるという面がある一方、寝ている間にまったく見知らぬ景色の場所まで来ていることに気が付き、そんな場所を1人で放浪することに不安も感じていた。


老夫婦は自前の馬車で王都まで旅行に行き、その帰り道だと言っていた。フランが横になるために端の方に押し込まれたものの中には長旅を想定した長期保存の出来る食糧、水、寝袋などが見受けられる。齢60歳を軽く超えているであろう老夫婦とは思えない行動力にフランは感心してしまう。


(日が傾いている。相当長い時間眠ってしまっていたのか……)


空は少し紅に染まり始めている。


「……ご自宅には近いんですか?」


「そうじゃのう、この調子で行けば、明日の昼にはつけるじゃろうな。まあ、次の町で降りるとしても、次の町に行く前にわしらの家に着くのじゃが。町に行きたいのであれば、その後にでも送ってやろう」


「……分かりました。それでいいです」


2人の家に町より先にたどり着いてしまうとなれば仕方ない。


フランは老夫婦の家で一泊することを了承し、ゴロリと横になる。整地されていない道はでこぼこが多く、クッション代わりになるものがなければ腰や首を痛めてしまいそうになる。そうでなくとも傷だらけのフランの体には苦痛が大きい。それでも歩いてここまで来るのと比べればはるかに楽なのだが。


ふと、横になった視界に金属が夕日を反射させている事に気が付き、視線をそちらに向ける。折り重なった袋の後ろに隠されるような形で置かれていた剣を見つけ、フランの体が硬直する。脳裏にゼーカに体を裂かれる光景がフラッシュバックし、腹の傷が鈍く痛みを発した。


おそらく護身用なのであろうその剣はどこにでもありそうな質素な剣だ。しかし、命を預ける物であるが故に手入れは行き届いている。使われた形跡はないが、長旅となれば護身用の剣くらい持ち歩くだろう。王都に近い場所は治安も安定しているが、それ以外の場所ともなれば物取り、山賊の類が出てもおかしくない。いくら警察や軍隊が動いていても、網の目をくぐって彼らは旅人や商人を襲撃する。


ヘラの町にいるとそういう危機意識は薄れてしまうが、それでも遠くから王都へ向かう商人の中には傭兵を雇って自分の馬車を守らせることがほとんどだ。実際に襲われ散々な目にあった人々の話も時々耳にした。


そういう行為に対して嫌悪感はもちろん芽生えるが、同時に自らを守れない人々に不甲斐なさも感じる。丁度、自分がレティアの身を危険にさらしてしまったように。


(今のあたしではお嬢様を守り抜けない……)


ゼーカと戦い、深手を負った自らの体がそれを否定しがたいほどに証明してしまった事実だ。


横になりながら、フランはこれからの事を考えていた。















日が山の向こうに消え始め、辺りに夜の闇が忍び寄ってきた頃、馬車が道の横に乗り上げながら止まった。


御者の席から物音がして老夫婦が降りていくのに気が付いて荷台から顔を出すと、荷台に後ろから上ろうとしていた2人と鉢合わせした。


「今日はこの辺で休む事にしようと思ってな。荷物を下ろすからちょいと失礼するよ」


フランが慌てて体を退かすと軽やかに荷台に上って来て奥の方から幾つか袋を持って降りる。


ここにいるのも邪魔だと判断したフランはよろけながらも馬車の荷台から降り、近くの木の幹に寄りかかる様に座る事にした。何もせずにいるというのも考え物なので近くに集められた袋を開けて中から野宿に使う鍋などを引っ張り出してみる。こういうものを見ると、自分の状態も忘れて仕事をしたくなるというのはもはやワーカホリックと呼ばれても仕方のないのではないかと内心苦笑してしまう。


「ま、それが仕事だから、ね」


老夫婦が馬を木に繋ぎ止める事に悪戦苦闘している様子を見て、フランは手近なところに転がっていた石を拾ってきて即席のかまどを作る事にする。


本で読んだ事しかなかったが、思いのほか記憶に残っていた。いつの頃からだったか、記憶力の悪さが少々薄らいできたような気がする。記憶力の悪さも記憶を封印されていた影響だったのだろうか。


薪を探しに行こうとも思ったが、さすがにそれをしようとするとジワリと痛みがこみ上げてきてしまったため、諦めて寝る場所も確保する。馬車の荷台で寝られるのは2人がせいぜいで、もう1人は地べたで寝る事になりそうだった。御者の席は狭く、寝るには少々不便だ。


こういう時、誰かのために、というよりは自分が寝る事を想定して仕事をするよう心がけている。あの2人が重傷である自分を外で寝かせるほど薄情でないことは当然理解できているが、自分が欲する事を他人に施せというメリスの訓えだ。


寝るのに丁度良い場所を見つけると、邪魔になりそうな石や枝を退けておく。


普段ならなんら問題のない作業もこの身体では重労働に感じられ、動くとすぐに息が荒くなってしまう。それでも何とか自分から始めた仕事を済ませると、一息つくためにもう一度木に寄りかかり、幹のデコボコが背中の傷に触れて顔を強張らせる。


「まいったな、おちおち気も抜けないなぁ……」


寝る時も極力背中をつけないよう体を横にしているのだが、無意識なものはどうしようもない。


「おお、すまんな。なにやら本格的な用意になってるのう」


「すいません、勝手にやってしまいました……」


「いやいや、ありがたいよ。しかし、その歳でそんな知識があるとは驚きじゃ」


感心したようで何度も小さく頷きながら、ふと老人は顔を上げフランの方に視線を向けた。


「迂闊じゃった。わしら、まだお嬢ちゃんの名前も知らんな」


言われてフランも気が付いた。


拾われて、何度も言葉を交わしているにも関わらず、老夫婦に名前を名乗っていなかった。それをする間もなく横になり寝てしまったのが原因なのだが、それを言われたフランは何とか木から体を離して2人に体を向けると、体の負担にならない程度に腰を曲げてお辞儀をする。


「申し遅れました。フランと申します」


フランの体の状態をある程度知っている2人はフランの態度に驚き、目を丸くして心配してくる。


大丈夫だと手で制しつつも、ふらつく足に叱咤する。


「わしはダン・レイモンド。こっちは家内のルーノじゃ」


「改めて、よろしくね、フラン、ちゃん?」


「さん」にするか「ちゃん」にするか一瞬迷った後、ニッコリと笑みを浮かべながら後者を選択したルーノが差し伸べた手を握り返しながら、フランもか細い声で挨拶を返す。


齢70歳は軽く超えているであろうルーノの手は力強く、温かみのあるものだった。肉刺が出来ては潰れを長年繰り返してきたのか、手の平の皮は分厚く固くなっている。


「呼び捨てで構いません。……というより、『ちゃん』付けで呼ばれるのは少々気恥ずかしいくらいです」


フランの今までの経験からすると、自分の事を「ちゃん」付けで呼ぶ人物にはいろんな意味で勝てる気がしないのだ。















雲の少ない夜空には少し欠けた月が浮かんでいる。


街道沿いとはいえ、夜も更ければ当然人の気も失せ、代わりに羽を休める鳥の声や森の奥から獣の遠吠えのような声が聞こえてくる。


街道の傍にある木の下でフランはルーノが取り分けてくれた食事が盛られた皿を手にぼんやりと焚火の炎を眺めていた。血の滲み出した包帯を変えたかったが、あいにく屋敷から持ち出した予備の包帯はとうに使い切ってしまっていた。むしろ今は状態が安定している方で、2人に拾われるまでに歩いたおかげで馬車の中で何度も包帯を変える羽目になった。


包帯と言えば、実は先ほどいざ食べようとした時も一悶着あった。咀嚼しようと顔の筋肉を動かすと包帯が緩み、おまけに頭と顔の傷が開きかけたのだ。幸い大きな傷じゃなかったから良いようなもので、何をするにも細心の注意を払わねばならない自らの体が無性に腹立たしかった。


(もっと、あたしが強ければ)


あるいは違う結果だったかもしれない。


「もし」で物事を考えても意味がないと何度も自分に言い聞かせていても、どうしても思考の隙間に忍び込んでくる。あの時、あの場所で、自分にゼーカよりも力があれば、と。


「どうしたの、調子でも悪い?」


「え……」


口に運ぶ野菜の味が脳に伝わらないほどそんな事を考えていたのか、皿の上の野菜はほとんど減っておらず、それに気が付いたルーノが心配そうに顔を覗き込んできていた。


それに気が付いて慌てて首を振ると慌ただしく口の中に野菜を放り込み、案の定喉を詰まらせる。


「んぐっ!? ……ん、ぐ……、ぷはっ!」


急いで水を飲んで胃まで流し込むとフランは大きく息を吐く。


「だ、大丈夫かい?」


「え、ええ、大丈夫……っ!」


返事をしようとしてフランの表情がサッと強張る。


皿を放り投げて地面に耳をつけると、意識をそこに集中させるために目を瞑る。


「ど、どうしたのじゃ」


「待ってください……、人数は……、3人」


体こそ我ながらもどかしいほどの状態だが、五感は鈍っていない。


フランの耳は息を潜めてこちらに近づいてくる3つの忍び足を聞き逃していなかったのだ。夜中、街道沿い、状況的にこの時間、場所で忍び足で歩く者などおおよそ見当はつく。焚火の光に吸い寄せられた虫のように盗賊をも吸い寄せてしまったようだ。


「山賊……?」


長旅をしているだけあって、ダンとルーノもその結論に達するのにそれほど時間は要さなかった。


「いかん、急いで逃げなければ……」


「馬の綱を外すのに4分程度、荷物を捨てるとしても間に合いません」


フランは先ほど馬を木に結ぶのに苦闘していた様子を見ていた。


決して慣れていないからというわけではなく、どうも今日はこの馬の虫の居所が悪いようなのだ。馬車の車輪には勝手に動かないようにするためのストッパーがつけられているし、何より馬が馬車に繋がれていない。


「馬で逃げよう、町まで行けば衛兵がおる」


「……駄目です、向こうから新たに2人、挟まれてます」


フランはさらに2人の気配を察知した。


山賊も馬鹿ではないようで周囲を囲むようにして徐々に距離を詰めている。フランたちがすでに自分たちの存在に気付いているとは思ってもいないようで、一定のスピードで真っ直ぐ近づいてくる。


(……やむを得ないですね……)


「ダンさん、剣を」


「むう……護身用で持っておるが、剣術なんぞ50年も前にやったきりなのじゃ……」


手に取った剣を持ち上げながらダンが自信なさげに項垂れる。


「身ぐるみ剥がされても、命だけは勘弁してもらおうかの……」


「……いえ、あたしが戦います」


ダンの手から剣を奪い取ると鞘から引き抜く。


刃が焚火の光を受けてオレンジ色に染まっている。鞘を静かに地面に置き、フランは周囲の気配に耳を澄ませ、右の目で可能な限り夜の闇の中を見渡す。


「その身体では無茶よ、止めなさい!」


制止するルーノの語気は強い。


旅の中でこのような状況でどうするのが一番適切か知っているのだろう。


山賊が旅人を襲う理由は金目の物や食料、時には誘拐して身代金を奪うといったことが挙げられる。今日明日にも家に戻るダンの馬車には金目のものは大してなく、せいぜい「金目のもの」と言えば今フランが持っている剣くらいだろうか。食料はそれなりにあるが、所詮2人分の量だ。残る誘拐も、こう言ってはなんだがダンとルーノを見て「身代金を期待できる」とは到底思わないだろう。


山賊の温情を期待できるほどの荷物があるわけでもない以上、殺される可能性が高い。自分たちの情報が町の警察などに伝わるのを怖れる彼らがフランたちを逃がす理由がもとよりないのだ。


おまけに積み荷にめぼしいものもないとくると、腹いせで殺されるかもしれない。


逃げようにも囲まれてはそれも叶わない。


そうとなればフランがするべき行動は1つだけだった。


「しかし、失礼ながら今この状況で戦えるのはあたし1人だと思います。お2人は木の陰に隠れていてください。戦わずに済むのならそれが一番ですが、それも望み薄ですから」


「け、けれど、あなたのその身体じゃ……」


食い下がるルーノを見て、フランは一度だけ頬を緩めて笑みを浮かべてみせた。


「今、あたしに出来ることは少ないです。ですが、出来る事をせずに最悪の結果になるなんて、きっとお嬢様・・・は納得なさらないでしょうから」


「お嬢様……?」


ダンの言葉には答えず、2人を守る様に前に立ち、暗闇の中を睨み付ける。


気配は既にすぐそこまで迫っているが、まだその姿を捉える事が出来ない。それでもわずかな風に乗って押し殺した息遣いが聞こえてくる。


フランのその様子を見てダンとルーノも覚悟を決めたのか、後ろの木の陰に隠れる音がフランの耳にも届いた。これで準備万端、とは言い難いが、それでも今持てる力を心置きなく振るうことが出来そうだ。


「…………っ」


数分のようにも数時間の様にも感じられる時間が過ぎた頃、草むらからヌッと大きな黒い影が姿を現したのが見え、フランが身構える。


姿を現したのは屈強な男だ。上半身は羽織一枚という薄着だが、そのおかげでその鍛え上げられた身体についた痛々しい傷が見える。今まで何を相手に戦ってきたのか定かではないが、それなりの実力の持ち主なのは確かだ。


続いてその隣に小柄な影が出てくる。背中が随分と曲がった小人のような男でニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながら小刀を手で弄んでいる。


「ほう、気が付いていたのか」


大男がフランの姿を見てわずかに感嘆の声を漏らすが、すぐにフランの体を見て冷めた目に戻る。


「だが、その身体で俺たちに立ち向かおうとは、行き過ぎた蛮勇だな、小娘」


「ここには何もありませんよ。次の町が目的地ですし、金目の物など……」


「それを決めるのは俺たちだ」


フランの言葉を遮り大男が言葉を重ねる。


その時、視界の反対側から3つの影が相次いで姿を見せる。すでに各々が自らの得物を抜いており、すぐにでも飛び掛からん気配を惜しげもなくフランに浴びせてくる。


「……ならば、あそこの馬車は差し上げますから、あたしたちはこれで」


「はい、そうですか、と言ってもらえるとでも思っているのか? 町に近いここで取り逃がせば山狩りされかねんからな、呪うなら今この場にいる自分を呪う事だ」


そう言いながら大男が背中に担いだ巨大な剣を抜く。


勢いよく地面に振り下ろされた剣が地面を抉る。使いこまれたその剣の刃はもはや人体を斬るだけの切れ味は残っていないが、あの巨躯で振り抜かれれば体の中身が砕かれるのは間違いない。むしろそれを目的にしているのかもしれない。


「なら、あたしからも一言、ここであたしに出会った事を後悔なさいっ」


今言える最大の啖呵を切り、フランは剣の切っ先を男の首筋に向けた。

 この度は、「剣と魔法と眼帯とメイドモノ!」第68話を読んでいただき、誠にありがとうございます。

 あの駄作者に代わって、後書きはこのフランが務めることとなりました。


 え、あの豆腐メンタル作者ですか? 


 読者の反応が怖くて部屋の角で震えているんですが、連れてきましょうか? 

 抵抗されると思うのでボコボコにした上で連れてくることになると思うんですけど。


 …そこまでする必要はない、と。では、本題に入りましょうか。


 まずは駄作者に代わり、休載から三年と五カ月ほどの放置をお詫びいたします。願わくばもう痛い目には遭いたくないのでこのままずっとお休みしてくれていても良かったんですが。


 休載の経緯を話し出すと長くなるので、ここでは割愛して第68話投稿に至った経緯を簡単に説明しますね。


 去年頃から作者の執筆に対する意欲が徐々に回復してきたんだそうです。活動報告を見てくださっている奇特な方がいれば分かるのですが、この小説を放置してまったく別の小説を書いているようです。


 ただ、そんな折に作者として望外なことが起きたそうです。その結果、「とととモノ」について思うところがあったらしく、その事をお伝えするための第68話投稿となったわけだとか。休載した時みたいに一話丸ごとそれに当てる度胸はなかったみたいです。


 さて、作者によると「完結させたいけど、気持ちがついてこない」状態が長らく続いていたとか。無理して書いたら、ただでさえ駄文なのにさらに酷いことになるとか四流に相応しい言い訳をしながらだったみたいですね。


 リアルとの兼ね合いもあって小説そのものから離れていた時期が二年近くあって、ここ一年くらいは息抜き程度にやりつつ、少しずつ書いていました。けれど、それはあくまで新作であって、「とととモノ」の執筆を再開したのは年末くらいからでしたか。それも数行書いては終わり、を繰り返す有様。これではいくら終わりが近いとはいえ、いつまで経っても完結しないんじゃないかな、ってレベルでしたね。


 私としては素直に諦めてくれた方が良かったんですが。

 …久しぶり過ぎて、私も少々毒舌になっていますかね。まあ、昔もあの作者の眉間に銃突きつけてましたし、後書きでは変わってないかもですね。


 それは置いておくとして、そんな折に「とととモノ」の方に感想が届いたそうなんです。最後の更新から三年半近く経っている小説に感想が付くなんて思ってもいなかったんでしょうね。


 作者が豆腐メンタルなことはいろんなところで自分自身で話していたようなので省略するとして、それと同時に作者は涙もろいというかなんというか、とにかく次の更新を待ってくれている読者がいると知ってそれはもう嬉しかったとか何とか。お世辞でも社交辞令でも嬉しかったそうです。おだてやすいですね、この人。褒めれば調子に乗って木にだって登りますね、これ。


 兎にも角にも、休載したのもメンタル面が原因だったのですが、この感想で俄然意欲が復活したらしいです。もちろん、忙しいのでかつてのような速度で更新はできないでしょうが、「休載は取り消す」そうです。その決意も込めて書き溜めていた話を投稿したとのこと。


 今後も数話の書き溜めが出来たら順次更新、というスタンスは変わりません。更新ペースがどうなるかは本人にも分からないそうで、リアルとの兼ね合い次第では数か月更新ができないことも十二分にあり得ると言っています。


 それでも、何とかこの細い糸を今後も伸ばしたいそうです。書くことが苦痛にならない範囲での、のんびりとした更新になります。そこのところはご了承していただきたいです。

 

 新作への浮気の可能性はおそらく100パーセント。投稿することはなくともそっちの執筆もやると思います。こんな駄作者でも良いという方は、気長~にお待ちください。いざとなったらこめかみに銃口突きつけてでも完結させます。ええ、やると言った以上はやってもらいます。何年かかろうが、ね。


 こんな駄作者でも一応私の生みの親ですし、仕方がありません。一生分の苦痛をとっくに味わいましたからこりごりなんですが、中途半端に終わるのも癪です。やるからには最後まで、でなければ。


 なので私共々、今後とも駄作者をよろしくお願い申し上げます。


 願わくば、皆さまと完結までお付き合いできればと一同思っております。


 それでは、またいずれ、次回のお話でお会いしましょう。





……




…………




………………え、言うの? 最後だから? 自分の口で?


 分かりましたよ~、言いますよ~。だから銃口でグリグリしないで…。


 はい、大体言いたいことはフランに代弁させたので多くは語りません。


 ただ一言。


 小説家になろうよ、私は帰ってきたああああああああああああああああああああああああ。


 以上です。


 あ、これまで通り、誤字脱字報告、ご感想お待ちしております。

 しばらくは三年前の書き溜めを垂れ流すだけなので、普通に誤字脱字あると思います。

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