秋風昼寝日和
掲載日:2025/10/24
柔らかく涼しい風が、シロサギが描かれたページをぱらりと捲る。そのちょっとしたノートの横にはたっぷりの氷の入ったアイスコーヒー牛乳。少女はクッションの効いたイスの背もたれを傾け、麦わら帽子を日除けに顔の上に乗せ、白のワンピースの胸元がすぅすぅと上下する。太陽は優しさを覚え、うろこ雲はふんわりと水色の空を漂う。少し先にはキックボードで樹の周りを駆ける少年。ボール遊びをしている親子。噴水の周りで、おじいさんが「ヘミングウェイ短編集」を目でなぞっている。一面の草原にはのっそりと心地よさそうに昼寝している人たち。そこは80階の高層ビルの屋上。さまざまな屋上に緑を敷いたビル群を、澄んだ空気が見通す。ほら、また柔らかな風が吹いた。少女は眠りの中でほんわり笑う。




