4 囚われの身
――前後の記憶ははっきりしている。
おじさんを街で見かけ駆け寄ろうとしたら何者かに路地裏に引きずり込まれ、振りほどくことも出来ず連れ去られたのだ。
運ばれた先は、街外れにある建物の地下倉庫。屈強な男たちが集う秘密組織で興味本位に近づくなと脅された場所――そんなことを言われ我慢できるはずもなく、所属している冒険者たちとはすでに顔馴染みである。
だから叫べば聞き覚えのある私の声に気付いて、誰かが様子を見に来てくれるかもしれないけど――
「……誘拐されたって信じてくれるでしょうか? いえ、『クルリは自分に正直だな』ってよく言われるので、正直者で通ってるはず。これが日頃の行いって奴です」
だが恐らく、呼んだら来るのは誘拐犯だろう。一か八かの賭けをするつもりもないので、運悪く地下倉庫に閉じ込められた時用の緊急通路から這い出し、建物の階段を駆け上がり扉を押し開ける!
「――助けてください! 追われてるんです!」
「こらこら、お父さんは仕事で忙しいの。遊びに来ちゃ駄目っていつも言ってるでしょ」
「……そういえば、お父さんは味方ですか?」
「いつも味方してやってんでしょうが、そんな寂しいこと言わない」
「――ボス、開けますよ!? 子供がこの部屋に逃げ込みましたよね!?」
遅れて、人相が悪い男も部屋に飛び込んでくる。目が合うと追いかけて来たので、その理由を是非とも問い正したいと思い連れて来た。
「……来たが、何? もしかしてお前が連れて来たのか?」
「私、誘拐されて無理やり連れて来られたんです! 遊びに来たわけじゃありません! こう見えて忙しいんです!」
男が息を整えている間に畳みかける。
ここ数日外に出れなかった原因の一端が目の前にいるのだ。悪いけどこちらは引くつもりはない。
「誘拐……ねえ? こんなこと言ってるが本当か? お前、この子が誰か知ってんの?」
「当たり前じゃないですか! こいつのじいさん、すっげえ金持ちなんですよ! 孫が誘拐されたとなれば、とんでもねぇ額の身代金も大人しく用意するはずです!! ――ボスも俺たちと組みませんか!?」




