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2 見かけた

「お母さんにおじさんのことを話したら、なんやかんやで衛兵さんの増員が急がされる大事になってしまいました」


「うむ、前々から足りないとは思っておったのだ」


「……おじさんにとっては、生きにくい世の中になってしまいますね」


「クルリは吾輩のことを誤解しておる」


 危ないからと外出禁止令が出され数日後。ようやく外に出ることが許され、それとなくおじさんの姿を探したところ、店先で佇んでいるのを見かけ思わず声を掛けた。


「おじさんは何してたんですか?」


「珍しい果物だったのでな、他の街との交流が盛んになった恩恵がこんなところにまであったかと感心しておったのだ」


「変に博識ぶらなくてもいいんですよ?」


「本当に吾輩を何だと思ってるのだ。……ところで、そちらの御仁は?」


「私のお母さんです。逃げる準備は出来てます?」


 一人で外出が許されてるわけではない。お母さんと一緒ならと特別に許可をもらったのだ。


「なぜ先ほどから睨まれてるのかと疑問に思っておったが、そういうことなら合点がいく。クルリよ、吾輩と口裏を合わせるのだぞ?」


「こんなこと言ってますけど、お母さんどうします?」


「いきなりの告げ口!? クルリは吾輩の味方ではなかったのか!?」


「全幅の信頼を寄せてるわけではないので」


「……どうやら吾輩が無害だということは自らで証明せねばならぬようだな。……怪しい者ではござらん!! クルリが唯一の話し相手、この街の発展を願う正義の味方である!!」


「……おじさんの分まで私が悲しんであげます。だから元気を出してください」


「吾輩はいつも絶好調であるが?」


 私たちのやり取りを哀れに感じたのか、お母さんがようやく口を開く。


「……悪い人ではなさそうね」


「ほれみたことか、言葉を交わしさえすれば吾輩の熱意は伝わるのだ。クルリは母君を見習うように――」


 お母さんのお墨付きも出たので、おじさんに声を掛けるのは許してもらえそうだ。信頼など、これから積み重ねていけばいい。


 ――それがまさか大変なことになるとは、この時の私は思いもしなかったのだ。

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