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第2章・サトリゴロシ
昔から声が聞こえた。
いつからだったのかは正直覚えてないけど、声は確かに頭の中で響いていたんだ。
憤り、悲しみ、怒り、哀しみ、嘆き、苦しみ、それら全てをかき集めて一つにした。そんな叫び。
誰かとすれ違う度に、頭に響き、脳髄の奥までかきむしり、抉り回す。
その度、悲しい気持ちになった。僕に何かできないのか? せめて、少しでも手助けをできればと思ってた。
そして、僕はその方法を見つけた。
ほら、またさっきすれ違った人からも叫びが聞こえた。
よし、あの人を助けよう。
そんなことを思った夏の日だった。