第29話:ライバル登場!
剛腕の左のアンダースロー橘周投手の4年目シーズンが始まる。しかし、数ヵ月前に橘周が苦手にしてきた選手がセ・リーグに加わった。FAでやってきたヤクルトスワローズの奥澤選手だ。
左のアンダースローだから当然、左バッターより右バッターの方がはるかに打ちやすいのだが、橘周は、
高めに浮きあがるストレートやシンカー、ツーシーム、チェンジアップ等を駆使して、右バッターをも得意にしてきた。
しかし、奥澤選手は橘周を打ってきた。まず身長173cmとプロ野球としては小柄で、バッティングフォームがかがんでいいるからストライクゾーンの高さが他の平均的な選手より20cmほど低くなるのだ、だから橘周のホップする高めストレートがボールになってしまう。そしてスイング軌道がレベルスイングから若干ダウンスイング気味なので橘周のボールの軌道に合わせ安いのだ。その上類まれなミートセンスと腕力で、詰まっても外野の前に落としてしまう。クイックのフォームにもスムーズについてこれたので、不意打ちも効かない(笑)。
去年までの交流戦では、12打数5安打4打点とかなり打たれていた。というかこんなに打たれているのは奥澤選手のみだ。
■今シーズン初対決
その苦手意識のまま、シーズンに突入し、橘周の2試合目の試合で相対した。
結果は3打数2安打1ホームランで、決定的な仕事をされて敗戦投手になってしまった。「う~ん、初の天敵誕生かあ。どう対処するかなあ」とさすがに結論がでずにいた。
■3週間後に再び対決
この日も2打数1安打とされ、6回に3打席目の対決。ここまで3:1とリードし、1アウト2塁だ。ここでチームと橘周は奇策に出た。というか昭和の時代は度々見られた作戦を使った。奥澤選手が打席を迎えると、橘周はファーストの守備につき、右投手がリリーフ登板した。球場がかなりどよめいた。最近ではピッチャーのケガを恐れがあるのと、守備力を考慮してこの作戦はかなり少なくなっていて、初めて見る作戦の観衆が多かった。
しかし橘周は、ダンスで鍛えた身体能力と守備能力があるから、首脳陣も自信満々にこの作戦を使った。しかもファーストの守備は自主トレとキャンプで訓練済だ。
この作戦は成功した。リリーフが奥澤選手をアウトにして、2アウトとなったところで再び橘周がマウンドに上がってこの回を無失点に抑え込んだ。
この日を堺に橘周が、ファースト、レフト、センター、ライトの守備につくことが増えていった。
■奥澤選手への対策
奥澤選手がいつまでも苦手といって、ピンチでいつも守備につくわけにはいかない、リリーフ投手の負担が大きいためだ、なので根本解決に取り組んだ。
奥澤選手は右投手のスライダーを苦手としていることは分かっていたが、橘周にはその類の変化球が無い。そこで真下に落ちるツーシームの握り方の別バージョンを探って、右バッターから見て、外角に逃げながら沈むツーシーム2を習得した。右投手の高速スライダー(曲がり少し)と似ている軌道だ。
他にも有効そうな配球や球筋を研究した。
さあて、次の対戦が楽しみだ!
ここいらで天敵をお得意様に変換したい!次の対戦でキッチリとカタを付ける。




