第207話:橘兄弟の対決 第2ラウンド
橘兄弟対決の2打席目。1打席目は橘周は三振に打ち取られたというか、
弟に捻られた。
ストレート、ナックルカーブ、シンカーの軌道を1打席目に経験できた。
がしかし、まだカッター、ツーシーム、チェンジアップは見ていない。
2人とも過去に無い、ヒリヒリ感を味わっていた。
楽しいの極地のような・・・
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■2打席目
初球 :外角ツーシーム 157キロ。ストライク。
周「速くて鋭い曲がり。外角に曲がる球種がツーシーム、シンカー、
シュートの3種類あるから、右打者もやっかいだ」
壮太郎が、一昨年28勝、昨年25勝と、とてつもない活躍ができたの
は、右打者の封じ込めに成功したことが大きい。その秘訣が右打者
から逃げる球種の充実だった。
2球目:チェンジアップ 138キロ。ボール。
周「チェンジアップも俺のよりいいなあ。やるなあ。」と感心。
3球目:インローへのストレート。ここで初めてのインコース。
162キロの速球に橘周が反応する。腕をたたんでレフトスタンドへ
運ぶイメージで振り切る。
しかし、若干差し込まれてバットが折れる。
それでも三塁手の頭を超えてレフト前にポトリと落ちた。
バットは折られたが、手首や握力の強さとボールの内側を捉える技術でどうにかレフトの前に落した感じだ。
1塁ベースに立った橘周は、弟の橘壮太郎に「手がしびれたぞ」とジェスチャーでアピールした。
心の中で
橘周「クソ、ホームラン行ったかと思ったけど、思ったより食い込まれた。
さすが壮だ」
橘壮太郎「詰まらせたけど、技術と気合でレフト前か!クソー!でも仕方
ない」
壮太郎は、ショックを引きずることなく、ライダー・ゴールド等後続の強打者を抑えた。4回まで打たれたヒットは兄の1本のみである。
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4回裏には、ヤンキースが先制したが、2点目を狙ったランナーを橘周のバックホームで刺してアウト。
次の5回表は、壮太郎がドジャース打線を三者三振。なにか一昨年、去年のキレキレの橘壮太郎が戻ってきた感じだ。
こうして、兄弟が互いに見せ場を作っていく。
橘壮太郎「2点目を阻止されるとは。おっさんなのに、頑張り過ぎだよ」
橘周「なんかエンジンかかってきた感じ。逆転するために壮をどうやって
打ち崩すか?難易度高いなあ」
とお互いの健闘を心の中で称え合った。
そうして、今シーズン最後の直接対決3打席目がやってくる。




