第182話:プロ野球ペナントレース終盤
9月に入り、ペナントレース終盤に差し掛かる。
左のアンダースローを卒業し、再びジャイアンツの一員になった橘周は、一昨年までのピッチャー中心から野手中心の二刀流に形を変えて、活躍を続けている。
打率は.333、出塁率は4割り近くキープするまでになってきた。この数値だけで首脳陣が毎日先発で使いたいものである。自分が試合に出ることで、他の選手の出番を奪うことになるから、「まわりが納得できる成績でなくなったら、いつでも2軍に送ってください」と監督に伝えてある。
40歳になった身体は疲れやすくなったが、逆にいつ故障して引退してもたいして悔いは無いから、若い時より思う存分できるというメリットがある。これは案外大きい。
四国アイランドリーグで圧倒的首位打者であったとはいえ、途中参加でここまでの活躍は、自他ともに、及第点というか、出来過ぎとも感じているが、何より毎日が充実している。
9月の2試合目には、ホームランが10本に到達した。盗塁も13と、開幕からプロ野球にいたとするとトリプルスリーを達成するペースである。
9月9日には、3安打2ホーマー6打点に守備でも1捕殺と活躍し、もう完全にチームの柱と言える。
9月11日は、橘周は先発を外れて、ブルペン待機だ。同点の7回にマウンドに上がる。これまで投げていない高めのボールから沈んで高めストライクになるシュートや、超スローカーブも混ぜて、少し目先を変えながらの投球。そのまま8回も投げ、ついに12年振りの勝利投手となった。
チームとしては橘周の加入以来、1位を奪回してそのまま快走し、9月20にセリーグ制覇を決めた。
その後シーズンが終了し、橘周は、出場試合68試合で、うち野手として63試合、ピッチャーとして18試合。
つまり両方での出場は、13試合となった。
■打撃成績
・打率 .338
・ホームラン 15
・打点 42
・盗塁 17
■投球成績
・1勝1セーブ
・防御率 1.59
ペナントレースの後半だけの参加であったが、後半だけならMVP級の活躍であった。




