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地上10センチから世界を征する 剛腕の左のアンダースロー  作者: 伊藤ライリー
ニューヨーク・ヤンキース編
108/109

第108話:今度は兄が起死回生の一打・・からのクローザー

弟の壮太郎は、後半戦4勝2敗の13勝6敗で向かえたこの日、これまでで最も無双する。前回の登板は4回3失点で敗戦投手になったが、球数が72球だったので、この日は疲れも取れてスイスイ投げていく。


3回にエラー絡みで1点先制されたものの、

カーブ、スライダー、カットボール、ツーシーム、チェンジアップと160キロストレートで三振を重ねる。8回110球15奪三振の好投で、失点1(自責点0)とほぼ完璧な内容。チーム方針でここで降板した。


しかし、相手エースもそれに近い好投で、打線が点を取れない。1点ビハインドで8回の攻撃だ。8回から2番手投手。代打攻勢で2アウト1塁2塁。


この緊迫した場面で、ヤンキースは代打にクローザーの橘周を送り出し、球場は騒然となった。右投手への相性が良い点も考慮されている。ただ橘周のコールの後、クローザーのサウスポーがコールされた。


観客の多くは肝心なことを忘れていて、ここで橘周のままなのかさらに右打ちの代打になるのかとモヤモヤしていた時、橘周が右打席に入った。そう橘周は、スイッチヒッターなのだ。ヤンキー・スタジアムはさらに騒然となった。


左右のピッチャーに対応できるからこその代打橘周でもあった。


その上右打席でもそこそこの実績を残しているのだ。これまで日米でホームラン38本のうち、右打席が10本もある。しかも、握力も左95キロ、右90キロと凄いことになっていて、下半身のバネと合わせて飛距離が出るのだ。


ピッチャーは、右打席での橘周は、事前に全く研究していないので戸惑ったが、スライダーで空振りを取った後、外角シンカーがボール。外角ストレートがファールで、カウント1-2と追い込まれた。


4球目のスライダー。橘周はそれを待っていた。


ドンピシャのタイミングで捉えると、レフトに弾丸のように飛んで行く。

レフトオーバーの特大ホームランだ!!!


3-1と逆転し、弟の壮太郎に勝ち投手の権利をもたらした。

ヤンキー・スタジアムはこれ以上無い大騒動になってしまった。


橘周は、ニヤッとしただけで、ほとんど表情を変えることなく、ダイヤモンドを一周した。そう、9回はDH解除してマウンドに立つのだ。


代打スリーランホームランを打った選手がクローザーでマウンドに上がることに、もう一度ヤンキー・スタジアムは騒然となった。


過去にもあったような光景だけど、明確に記憶していたファンはそう多く無いし、弟のためにも代打スリーランホームランを放ったことに興奮していた。


実際、橘周もいつもよりアドレナリンが出て結果を出し、実際は大興奮していたので、難しいピッチングとなった。


珍しく先頭打者にフォアボールを出すなど、若干苦労したが、なんとか抑えてゲームセット。ここで飛び上がって大喜びだ。


2人揃ったヒーローインタビュー。

「弟に勝ちをプレゼントできた感想は?」

「いやー、良かったあ。今日は久しぶりにビビったけど良かったです」

「久しぶりの右打席だけど、良く打てたね?」

「最近、ちょくちょく練習していたので、なんとか打てて良かったです」

「兄がやってくれたね?」

「前に、勝ちを消されているので、これでイーブンだね(笑)」

「イーブンかあ。良かったあ!って、おいおいもっと褒めろや!」

最後は、通訳が難しいちょっとしたのりつっこみだwww。


バッティングで兄弟の負けを勝ちに変えて、その上9回をクローザーとして抑えるというのは、当然歴史上初めてである。



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