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地上10センチから世界を征する 剛腕の左のアンダースロー  作者: 伊藤ライリー
ニューヨーク・ヤンキース編
102/114

第102話:クローザーとして3連投。後日やっと超快足の披露だ!

ヤンキースの正規クローザーとしての橘周のピッチング内容。


まず高めストレートは、145~150キロだが、地上10cmで手から離れて下から上に1mほど上がる。そして空気抵抗や向かい風で0~20cm浮き上がる世界唯一のストレート。しかも横にシュートする。メジャーリーガーでも初見はもちろん、慣れても中々捉えられない。


低目ストレートは浮き上がらない代わりに、高め以上に真横にシュートしていく。オーバーハンドスローのツーシームのような球筋である。


カットボールも、高めは135キロ前後で、10~30cm程度浮き上がる。これがライジングカッターだ。バッターは打つ直前までストレートかカットボールかの、2種類のライジングボールの見極めは困難で、空振り率が高い。


メジャーで投げ始めたシュートは、130キロ程度で、橘周の場合は、真下に30~40cm沈む。ライジングボールと逆方向の真下に曲がるから当然これもやっかいな球種だ。


主な変化球の最後は、ツーシーム。140キロ程度で真下に沈むものと、シュートしながら沈むものの2種類だ。オーバーハンドスローのスプリットのような落ち方なので、これもバッターが捉えにくい。


後は、クローザーとしては滅多に投げない、チェンジアップとスローカーブ。


日本とメジャーに来た当初は投げていたシンカーとパワーカーブは封印している。投げる瞬間に捻る球種なので腕と腰への負担が大きいと思えるからだ。


ヤンキースは、35歳になる橘周を一応大事に使おうとしていた。できるだけ3連投は避け、もし3連投した場合は、中2日を開けるよう考えている。そのかいあってか、面白いように三振を取って、抑えていく。


5月に初の3連投をした。合計打者10人に対して1ヒット、7奪三振だ。


その翌々日、3点リードされた8回に代打で登場した。ヤンキースで初の打席となった。1アウト1塁2塁のチャンスなので、どうにか塁に出て次につなげたいところ。でも対戦するピッチャーが160キロの速球とツーシームを外角に投げ込んできて、ちょっと捉えにくい。よし!


セイフティーバント!強くは転がせずにピッチャーがつかんで一塁に送球。セーフ!1塁到達に余裕で3秒代で駆け抜けた。やっとヤンキースファンの前でスピードスターであることを証明できた。

これで満塁。球場が大いに沸いた。

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元々橘周の走るフォームは200mで活きる大股走法で、1塁到達までは速いけどトップではなかった。それをプロ野球の後半とメジャーで改善を重ね、今では1塁到達もメジャー最速レベルに向上していたのだ。

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橘周の高速走りで満塁となり、いわゆる押せ押せムードになった中で、次のバッターがレフト線を破るヒットだ。


橘周は、1塁から2塁ベースに到達した後、全開モードへ。大股の陸上オリンピック選手のような走りを久しぶりに披露した。そのまま一気にホームまで戻ってきたが、前の走者へ追いつきそうな近さまで到達していた。そして、距離長めの高速スライディング。


橘周のカッコイイ走る姿に、ヤンキースファンは大興奮で、同点のホームインの時には最高潮になった。実況アナウンサーも「速い、速い」と叫んでいた。


これで同点だけど、もう勝てるに違い無いといった雰囲気に包まれ、その後の連打で2点勝ち越し。まさかの大逆転勝利に、橘周は足で大いに貢献した。


ニューヨーク・ヤンキースでも、新たな伝説が増えたのだった。


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