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ウィッチエアクラフト〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜魔法の復活編  作者: 朱坂卿
再・第一翔 魔法の復活
5/50

#5 人工魔法円盤vs法機

「おや、邪魔っ気にも空に陣取っていた円盤が動いたな……お前ではないがこの前の同じ形状の円盤に受けた借りは返させてもらおう!」


 剣人は搭乗する法機クロウリーから見える宙飛ぶ人工魔法円盤スペースフライングリソーサリーハスターを睨み、向かって行く。


 いつぞやのかぐやが乗っていた人工魔法円盤との戦いにおいてはさして活躍できなかったと認識しており、その雪辱を果たしたい考えだ。


「ふん、それがお前の法機か……ならば検索してやろう! hccps://myactivity.huster.frs/、サーチ! アクティビティ オブ クロウリー! おお……分かる、分かるぞ、お前のこれまでの戦闘データが!」


 スターもかかって来いとばかりに、電賛魔法を駆使する。

 そして。


「hccps://crowley.wac/、セレクト、アトランダムデッキ! 太陽(ザ サン)――眩き陽光(ダズリングライト)! エグゼキュート!」


 剣人は法機クロウリーに命じる。

 たちまち法機の背後には、太陽の幻影が出現し。


 それにより、周囲には熱波と閃光が撒き散らされる。


「うむ! 聞いていた通りの威力だが……所詮は聞いていた限りに過ぎぬな!」

「くっ、またあの挙動か!」


 が、スターは未だに余裕を湛え。

 それに呼応する人工魔法円盤ハスターは、縦横無尽に天を翔け回避する。


 ◆◇


「真白!」

「黒日、私たちは! あの地上に陣取る気持ち悪い形の敵戦車?を退治しに行くよ!」

「おーけー!」


 そんな中、真白と黒日も水陸両用戦車ウィッチーズアンフィビアから法機ディアナとアラディアでそれぞれ飛び出し。


 空を剣人に任せ、自分たちは地上の三脚空挺戦車トライアドウィッチエアボーンタンク部隊に狙いを定めた。


「hccps://diana.wac/、セレクト 月の弓矢(マンスボウ)! エグゼキュート!」

「hccps://aradia.wac/、セレクト 魔女の福音(ゴスペルオブウィッチ)! エグゼキュート!」


 そのままディアナ・アラディアから無数の光矢と動きを止める攻撃が放たれる。


 地上部隊には機動性で勝る法機からの攻撃が有効だ。

 だから空を抑えた時点で、法機を駆る自分たちの勝利は確実。


 真白にも黒日にも、そんなどこか敵を甘く見る考えがあったことは確かである。


 が、何と。


「な!?」

「ち、地上部隊が……飛行して回避した!?」


 彼女たちが驚いたことに、法機ディアナ・アラディアの攻撃を食らった三脚空挺戦車トライアドウィッチエアボーンタンクは胴体たるその円盤状本体を旋回させ。


 空へと昇り襲いかかって来たのだ。


「くっ……怯んじゃだめ、黒日! こいつらの動きを止めて!」

「そ、そうだね真白! ……セレクト 魔女の福音(ゴスペルオブウィッチ)! エグゼキュート!」


 真白たちも、動揺しつつも。

 アラディアの攻撃により、何体かの三脚空挺戦車トライアドウィッチエアボーンタンクの動きを止める。


「よし! これで……きゃっ!」

「きゃあっ!」


 しかし、ここぞとばかり攻撃準備に入った彼女たちを。

 動きを止められていなかった三脚空挺戦車トライアドウィッチエアボーンタンクたちがその触手より、光線を放ち攻撃してきた。


「くっ……セレクト 月の弓矢(マンスボウ)! エグゼキュート!」


 真白は、その攻撃に苦しみながらも。

 法機ディアナに命じエネルギーの光矢を多数、放つ。


 ◆◇


「くっ……何て動きだ!」

「ははは、ついて来れないか! 所詮は鈍足の法機風情が!」


 翻って、再び剣人とスターの戦場にて。


 未だに人工魔法円盤ハスターは、縦横無尽に天を翔けクロウリーを翻弄している。


 その挙動は、あのかぐやの乗機が見せたように。


 機体そのものの上下左右反転を繰り返し、まるで重力の影響下にないような様相すら呈している。


 宙飛ぶ法機ウィッチスペースクラフトの状態で宇宙空間にいるならばいざ知らず、通常の法機ではとても及ばない境地であり円盤はこの点でまず空の主導権を握っていた。


 更に。


「くっ……だが逃れられるか!? このクロウリーの全方位に及ぶ熱波から!」

「ふふ……もうその動きは見切っている! 既に過去のデータを閲覧済みだからなあ!」


 ――太陽(ザ サン)――爆炎日光(バーストフレア)

 ――太陽(ザ サン)――怒りの太陽(ラーシーズソーラー)

 ――太陽(ザ サン)――陽光の壁(ソーラーウォール)


「その法機で太陽(ザ サン)を引き当てた時の陽光エネルギーの有効範囲・限界値……全てが見えている! だからこの人工魔法円盤、逃げるばかりが能ではない…… hccps://huster.frs/! セレクト、黒湖の幽閉(レイクハリズジェイル) エグゼキュート!」

「くっ……ぐっ!」


 法機クロウリーの検索履歴を調べる能力により、スターはこれまでの戦闘データを得て。


 法機の技有効範囲と無効範囲の境界ギリギリまで肉薄し、そこから技をクロウリーに喰らわせると行った芸当もこなした。


 たちまちクロウリーは、自身の技有効範囲を全てバリアで覆われたことにより。


 自身が放った陽光エネルギーが、そのまま自機に跳ね返るという状況に苦しむことになった。


「ははは、こんなものか法機とやらは!」

「くっ……」


 スターは声が伝わっている訳ではないものの、これでもかとばかりに剣人を煽る。


「さあ、そろそろ止めを」

「hccps://rusalka.wac/、セレクト! ゴーイング ハイドロウェイ、エグゼキュート!」

「くっ……これは!」


 しかし、そんな剣人に止めを刺そうと近寄った人工魔法円盤ハスターは。


 突如現れた法機ルサールカが水流を生成し、そこに取り込まれてしまった。


「……セレクト 月の弓矢(マンスボウ)! エグゼキュート!」

「む! バリアが消えたか……魔導香、井使魔の法機か!」


 見れば先ほどまで三脚空挺戦車トライアドウィッチエアボーンタンク群に苦戦していたはずの法機ディアナ・アラディアもこちらの戦場に来ており、剣人の法機クロウリーを救ってくれた。


「馬鹿な、地上部隊は……くっ、あのルサールカの水流に囚われたか!」


 スターも周囲を見渡し、歯軋りしたことに。


 三脚空挺戦車トライアドウィッチエアボーンタンクの部隊もこの水流に囚われ、無力化されていた。


「ええ、わたくしたちを忘れていただいては困るという話であってよ!」


 マリアナも法機カーミラにより駆けつけた。

 彼女たちの法機を載せた水陸両用戦車ウィッチーズアンフィビアも遅ればせながら、到着したのだった。


「さあ……hccps://camilla.wac/! セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート!」


 マリアナは、そうして無力化した空飛ぶ円盤のエネルギーを吸収しようとする。


 これぞかぐやの乗機を無力化した時の状況そのものであり。

 これで凸凹飛行隊の勝利――


「……ふん、同じ手で勝てると思ったか! hccps://huster.frs/! セレクト、 黄衣王の憑依(リキッドライズ) エグゼキュート!」

「な……円盤が!」


 ……とはならず。

 何と人工魔法円盤ハスターは、自らを液状化させ。


 そのまま水流の中を、移動し始めたのである。


「く! 奴ら、前の俺たちの戦いも知っていたか」

「焦ることはなくってよミスター方幻術! そうそう同じ手が通じるとは思っていなくってよ……雷魔さん!」

「はい、マリアナ様! ……hccps://rusalka.wac/、セレクト! 儚き泡バブリングパニッシュメント、エグゼキュート!」

「む! これは……爆発する泡か!」


 が、これも計算のうちとばかり。

 法使夏はハスターを捕らえた水流を泡の水流へと変え、爆砕せんとする。


「ふん……だが! 生憎それも予想済み、検索済みだ!」

「むう……敵が!」


 しかしハスターも負けじと。


 再び水流の外へと躍り出て、縦横無尽の動きを繰り広げる。


「く……セレクト、アトランダムデッキ! 吊るされた男(ザ ハングドマン)――絞首の捕縛(ハンギングバインド)!」

「セレクト、サッキング ブラッド!」

「セレクト! 儚き泡バブリングパニッシュメント

「セレクト 月の弓矢(マンスボウ)

「セレクト 魔女の福音(ゴスペルオブウィッチ)

「エグゼキュート!!!!!」


 そんな人工魔法円盤ハスターに対し、凸凹飛行隊法機群が一斉攻撃を加えるが。


「ははは! 何だそんな攻撃たちなど、どれも検索済みだ!」


 スターはまるで動じず、相変わらず人工魔法円盤を上下左右に連続反転させこれらを悉く回避して行く。


 ◆◇


「皆、頑張れ! くう……ああもう、じれったい! 私にジャンヌダルクさえあれば……」


 この戦場からほど近い、魔法塔華院別邸。


 青夢はただただ指を咥えて見ているだけの現状に、不満を募らせていた。


 ――あれば、どうするの?


「え!? 何この声……かぐやちゃん?」


 と、その時。

 徐に脳内へ声が響き、青夢は周囲を見回すが。


 寝ているかぐやは勿論、どこにも人影は見当たらない。


 ――心配しなくても大丈夫よ……あなたに力を与えてあげる、この私が!


「え、あ、ありがとう……誰か知らないけど。」


 青夢はその声の主に首を捻りながらも、ここで力を発揮できるならばとその言葉に乗るとする。


 ――さあ、唱えなさい……あなたのジャンヌダルクに向けて!


「ええ、分かったわ……」


 ◆◇


「hccps://huster.frs/! セレクト、 黄衣王の憑依(リキッドライズ) エグゼキュート!」

「くっ……あの円盤め!」


 一方。

 外の戦場では凸凹飛行隊法機群が、相変わらず人工魔法円盤ハスターに翻弄されていた。


 ――hccps://jehannedarc.wac/! セレクト、ビクトリーインオルレアン……エグゼキュート!


「え? この声は何であって? ……きゃあ!」

「きゃああ!」

「な、何これ!?」

「これは……熱線か!?」


 が、突如として。

 魔法塔華院別邸庭園の地面を突き破り、三本の熱線が飛び出し。


「これは何だ!? 何にせよ、私のハスターによる黄衣王の憑依(リキッドライズ)の前には……ぐああ!」


 それらが自機を掠めてもスターは余裕を崩さなかったが、その余裕とは裏腹に人工魔法円盤ハスターは液状化し無効化しているはずのダメージを負ってしまう。


 不意打ちで高エネルギーを短時間のうちに叩き込まれたがために、無効化できなかったようである。


「ま、マリアナ様! この熱線は」

「ええ、これは……まさか!」


 が、マリアナたちはそんなチャンスとも言える敵のダメージよりもこの攻撃の主が気になった。


 それは――


「恐らくは龍魔王の宙飛ぶ(スペーストライア)三段法騎戦艦(ドファザードラコ)レッドドラゴンですわ……でも、何故? あれは機能停止しているはずでは……」


 マリアナが思い当たったのは、別邸地下に係留されている龍魔王の宙飛ぶ(スペーストライア)三段法騎戦艦(ドファザードラコ)レッドドラゴン――青夢の法機ジャンヌダルクを核とする巨大戦艦――であった。

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