#33 龍魔王の復活
「幻獣機ゴグマゴグが……? しかもこんな沢山、何で……?」
法使夏は目の前の光景に、激しく動揺する。
無理もない。
目の前に現れた無数の幻獣機たちは、どう見てもかつての半身とも言える相棒のそれに酷似しているのだから。
と、その時である。
「ふう……間に合ったわ! ……!? あれは、沢山の幻獣機ゴグマゴグ!? 何で……?」
「!? ……え?」
それら幻獣機ゴグマゴグに酷似したものより巨大で、奇っ怪な影が突如として、宇宙戦を繰り広げている法機群及び円盤群の前に姿を現したのだ。
◆◇
「!? あれは……何ですの!?」
「ま、マリアナ様!」
「あ、あれは……?」
大気圏を突き抜けて来て、宇宙に上がって来たそれに、マリアナや法使夏、剣人は大いに困惑している。
しかし困惑しながらも、彼らは冷静にそれの特徴を捉えていた。
そう、それ――
かつての大和型戦艦を思わせながらも、艦尾に筒状の噴流器を備えた艦体。
艦前半部に備わる三基の主砲塔、艦橋以降の艦後部に備わる三重の飛行甲板。
それらは一見すると。
「な、何だ……あれは、まさか噂の!?」
「あ、アイ! あれはレッドドラゴン様とかいう奴かしら?」
「かしら? いやいや、知らないない!」
「いや、あれは……」
「ああ、あれは微妙に違う……」
根源教四騎士団長も察した通り、それは三段法騎戦艦レッドドラゴンを思わせるが、違うのはその艦橋部だ。
多頭龍型頭部の人上半身型艦橋だったレッドドラゴンとは違い、同じく人上半身型でありながら双頭の巨人のような形の艦橋部なのだ。
「……あ、おっほん! ……皆さん、こんにちは。私はかつての三段法騎戦艦レッドドラゴン――今は巨魔の宙飛ぶ三段法騎戦艦ゴグマゴグというこれを駆る者、魔女木青夢です!」
「!? な……?」
この奇怪な三段法騎戦艦――青夢曰く巨魔の宙飛ぶ三段法騎戦艦ゴグマゴグ――から、青夢の声が周辺の法機群や円盤群に響き。
それによりそれらの乗り手たちは、更に混乱する。
「ま、魔女木さんが!?」
「そ、そんな」
「つ、ついにあの動かなかった三段法騎戦艦を動かせたのか!?でも、どうやって」
中でもその三段法騎戦艦の先ほどまでの事情を知っている、凸凹飛行隊の面々が殊更驚いているのは言うまでもない。
いや、この状況に最も驚いているのは凸凹飛行隊でも米中の面々でも、ましてや円盤群を駆る根源教騎士団長たちでもないのかもしれない。
「(な、何ザンスかこれは!?)」
「(な、何しょ!?)」
「(これは)」
「(奇々怪々也……)」
ただでさえ人間だった頃の記憶を失っている上に、急に仮想世界マゴグから現実の宇宙空間へ、それも双頭の巨人型幻獣機などという人外の器に移されたVIたちがそうなのだろう。
「……私から説明しましょう! その幻獣機はゴグズトルーパーやマゴグズトルーパーといいまして。この私がこの法機ヨハンナの能力でその姿に変えた、第二電使の玉座内仮想世界にいたVIたちです!」
「!? ……え??」
そこへ、また三段法騎戦艦ゴグマゴグ周辺宙域で呆けていた法機群や円盤群の乗り手たちを困惑させたことに。
法騎ヨハンナを駆る女教皇が、その法騎諸共に地球大気圏を突破しつつ、青夢と同じように通信で呼びかけて来たのだ。
◆◇
「な、何故あらせられるのですか、猊下!」
「な、何でですか!?」
「何でですか!?」
「猊下……」
「……まったく! やはりあなたの御心は分かりませんね……」
いや、同じ驚きであっても円盤群の乗り手である根源教騎士団長たちのその中身は違う。
スターにボリー姉妹、フレイヤにカロアの驚きは彼ら彼女らの首魁たる女教皇自ら法騎にて出向いて来たということへのものである。
「……根源教各騎士団長へ秘匿回線にて通達します。三段法騎戦艦ゴグマゴグへはあなた方は手出し無用! 代わりにこれまで通り、各勢力法機群へは攻撃を続行、彼女と私の戦いには他の者に邪魔をしないよう守ってください!」
「!? は、はい!!!!」
「……はい。」
そんな風に呆ける騎士団長たちに対し、女教皇は傍受を防ぐため秘匿回線による通信で命じ。
カロアは不承不承といった感じで、その他は素直に命令に応じ。
再び円盤群を駆り立て、先ほどまでの戦場へと戻って行く。
「ま、マリアナ様!」
「え、ええ……まったく事情は分からなくってよ、だけれど! わたくしたちは引き続き、あの円盤群を!」
「わ、分かった!」
未だ事情が飲み込めないながらも、マリアナの命令により凸凹飛行隊が動き出す。
彼女たちは向かい来る円盤群を相手取らんと、自分たちの宙飛ぶ法機型円盤を駆り立てて行く。
「ですが、何かおかしくってよね……あの法機、ヨハンナと言ってかしら? あれが現れた直後にあの円盤群はまた動き出して……?」
マリアナも自機を駆り立てながらも、疑問を持ちつつあった。
かねてから、あの円盤群が宇宙人を装った地球人の勢力ではないかという疑惑もある。
まさか、あの法機ヨハンナが円盤群の親玉だとしたら。
「……可能性は、あってよね!」
マリアナはそう考えつつも、今相手取るべき目の前の敵を睨む。
◆◇
「皆の法機や円盤がまた動き出したわ……」
青夢も三段法騎戦艦艦橋から周囲を見渡し、その状況を把握する。
そして不可解なことに、あの法騎ヨハンナが現れるや周囲の戦いは再開された。
これは偶然か、それとも――
「……ああ、そう言えば名乗り遅れましたね。私は魔法根源教が教祖たる、女教皇と申します……」
「!? え……ま、魔法根源教の、お、女教皇……!?」
「おいおい……」
「え? ね、姐様!?」
「な、何やと!?」
「え、嘘……」
「何ですって……?」
青夢がそう考えていると、法騎ヨハンナから通信を介して明かされたその事実に、三段法騎戦艦ゴグマゴグに乗る青夢、元女男の騎士団、真白と黒日は驚く。
「げ、猊下!」
「あ、明かしていいんですか!?」
「いいんですか!?」
「猊下……」
「まったく……」
無論根源教各騎士団長たちも、女教皇が名乗ったことに驚いたのは言うまでもない。
魔法根源教。
確か電賛魔法が廃止された後でそれを復活させたという、得体の知れない奴らではなかったか。
その首魁である女教皇が、ここに?
何のために?
青夢たちは、更に疑問が湧くが。
「hccps://ioanna.srow/、セレクト! 女教皇の選択! 戦車、悪魔、女帝! hccps://ioanna.wac/GrimoreMark/、セレクト 女魔王の戦車砲! エグゼキュート!」
「!? まずいわ、三段法騎戦艦前進! 攻撃を防いで!」
「あ、ああ了解だ!」
「行くわ!」
そんな隙を突くように、法騎ヨハンナはエネルギーによる仮想砲塔を構築しそこから砲撃をかまし。
それに気づいた青夢たちは、慌てて三段法騎戦艦ゴグマゴグを移動させる。
未だエネルギー体を艦体全てを覆うように展開している同艦により、そのエネルギー体が盾となり砲撃が防がれる。
その砲撃の矛先が向けられていたものは。
「あなた……女教皇さんと言ったかしら? 何でVIの人たちが変化した幻獣機たちを狙ったの!?」
青夢が今言った通り、今三段法騎戦艦が盾となっている背後にいるVIたちが変化した幻獣機ゴグズトルーパー、マゴグズトルーパーたちだ。
「あら、もちろんあなたの為よ……魔女木青夢! そう、これは罰よ……ならば分かるでしょう!? あなたが電賛魔法システムを終わらせたことに対する、ね!」
「え!? そう言えばその声にその言葉、どこかで……あ!」
女教皇のその言葉に、青夢はふと既視感を覚える。
それが何なのか、思い出した。
――そう、これは罰よ……ならば分かるでしょう!? あなたが電賛魔法システムを終わらせたことは所詮自己満足……いえ、それにも満たないでしょうけどね!
「あの時……仮想世界のVIさんたちの村で脳内に響いていた声は、あなただったのね!」
「ふふふ……」
仮想世界ミレニアムで聞こえていた声の主こそ、この女教皇だったのだと。
「さあ……根源教各騎士団長! 再び秘匿回線にて命じます。相変わらず三段法騎戦艦には手出し無用ですが、これまで通り各戦線は維持し。こちらに回せる限り円盤群を差し向けてあの幻獣機群には手出しをしてください!」
女教皇は再び、そう命じる。
「はっ! 猊下の御命とあらば」
「御意に!」
「御意に!」
「はい、猊下!」
「……はい。」
未だ先ほどからの女教皇の勝手な行動の数々に疑問を拭えないながらも、命令を受けた各騎士団長が受け持つ戦線から、いくらかの円盤群が幻獣機ゴグズトルーパー、マゴグズトルーパーの止まる宙域へと集まって来る。
「くっ……真白、黒日に魔女辺赤音! 法機で出て、あの円盤群を相手して幻獣機たちを守って!」
「わ、分かったわ青夢!」
「任せて!」
「ああ、お易い御用や!」
「ありがとう……もしものためにか、あの魔女の黒猫も積んであるらしいから、それも使って!」
「了解!!!」
青夢はそれを見て、真白や黒日に赤音にも命じる。
更に。
「メアリーさんに使魔原ミリア! 主砲撃で円盤群を牽制して!」
「あいよ!」
「分かってるわよ!」
メアリーとミリアにも、法機出撃までの時間稼ぎをお願いする。
「edrn/fs/gogmagog.fs?arts=TwinStreamーーセレクト !! ツインストリーム!! hccps://circe.wac/GrimoreMark/、セレクト 誘導火線砲 エグゼキュート!!」
メアリーとミリアは三段法騎戦艦に命じ、それにより同艦は今周囲に展開するエネルギー体から無数の火線を放ち、接近する円盤群に命中させていく。
「さあ、急ごう!」
「うん、真白!」
「ああ!」
そうして真白と黒日、赤音も、法機発進準備をする。
彼女たちの法機の後ろにやって来たのは空飛ぶ円盤型法機――通称・魔女の黒猫である。
「……空飛ぶ円盤型法機!!! セレクト コーレシング トゥギャザー!!!」
彼女たちが搭乗している法機それぞれと、空飛ぶ円盤型法機――その変形した姿たる、着脱式魔法円盤は前後に並ぶ。
そうして着脱式魔法円盤のかつて機首が突き出ていたが引っ込んだことで空いたスペースに、その法機たちはそれぞれが吸い込まれるかのように接続する。
そうして。
「……トゥー フォーム 宙飛ぶ法機型円盤!!!」
法機ディアナにアラディア、マルタは宙飛ぶ法機型円盤の姿へと変わる。
そうして法機たちは、三段法騎戦艦ゴグマゴグの三重の飛行甲板より飛び出し、エネルギー体が敢えて穴を空けそこから戦闘宙域へと繰り出す。
「お願い……真白、黒日、魔女辺赤音!」
青夢は背後の戦闘宙域から、そう念じつつ目を離す。
◆◇
――……ああ、そう言えば名乗り遅れましたね。私は魔法根源教が教祖たる、女教皇と申します……
「w、Why……? なぜ、女教皇(High Priestes)が……?」
一方、女教皇の先ほどまでの言葉で驚いたのは宇宙空間の者たちだけではなかった。
あれは秘匿回線ではなく、周辺全域に向けて発信された内容のため第二電使の玉座内のデイヴやセーレ、呪華、金東もである。
その驚きは、女教皇がなぜわざわざここに来たのかという疑問――根源教の騎士団長たちとは違い円盤群との繋がりは知らないので、尚更無関係なのに何故という疑問でもある――から来たものである。
――……私から説明しましょう! その幻獣機はゴグズトルーパーやマゴグズトルーパーといいまして――
「先ほどまでこの中の仮想世界にいたVIが変化したのが、あの幻獣機群だと言うのかい……Why?」
同時に、その女教皇がこの宇宙に来たその瞬間に言っていた言葉にも疑問があった。
――多数のVIが眠る場所ならあるじゃないですか? そう……日本が管理する、第二電使の玉座が!
そもそも、自分たちにここにあったVIたちを奪うように焚き付けて来たのは、他ならぬ女教皇ではなかったか。
それがこれでは、まるで邪魔をされている気分だ。
と、その時。
「Hello、This is Schindler speaking……w、What!?」
「!? Well、どうしたシンドラー二等兵?」
セーレの元に入電があり、それによりとても驚いていた彼女にデイヴは声をかける。
「y、Yes……ソー軍曹、私たちの空宙都市ルシフェル内仮想世界が、ハッキング攻撃を受けたようでして……」
「w、What!?」
デイヴは更に驚く。
いや、ハッキング攻撃を受けたのは空宙都市ルシフェルだけではない。
「是……什么!? そ、そんな……」
デイヴたちと同じく、呪華たちにも入電があった。
そう、中国の空宙衛星座都市明星も同様に攻撃されていたのだ。
◆◇
「さあ……ここから先の、VIの人たちが変化した幻獣機たちには指一本触れさせやしないわ!」
再び、三段法騎戦艦ゴグマゴグと法騎ヨハンナの戦闘宙域に戻るが。
幻獣機群たちを守るべく出撃した宙飛ぶ法機型円盤たちと、根源教騎士団から差し向けられた円盤群との戦場を背後に、三段法騎戦艦ゴグマゴグと法騎ヨハンナは睨み合いを続けていた。
が、その時。
「おやおや……そんな外付けのゴグマゴグで強制操作している状態では難しいでしょう? そろそろ元の姿――三段法騎戦艦レッドドラゴンに戻ってはいかがですか?」
「……は?」
唐突に女教皇は、そんなことを言い出した。
「馬鹿言わないでよ! レッドドラゴンは……ジャンヌダルクは今呼べないのよ! ……ほら。hccps://jehannedarc.srow/ サーチ! コントローリング 空飛ぶ法機! セレクト ブーティング 空飛ぶ法機、エグゼキュート!」
青夢はそんなことはできないことを示すべく、戯れでそう唱える。
どうだ、そんなのできっこない――
そう、訴えるつもりだった。
しかし。
「ん!? な、何だいこれは!?」
「は、はい姐様……き、急に……きゃあ!?」
「え……め、メアリーさん! 使魔原ミリア!」
メアリーもミリアも、唱えた青夢本人も、驚いたことに。
メアリーやミリアが乗っている宙飛ぶ魔人艦ゴグ・マゴグ。
一度左右に分離し、三段法騎戦艦の多頭龍様上半身型艦橋部を左右から覆い隠すように融合していたそのゴグ・マゴグだが、今回は逆に左右に再び分離し。
その元々の艦橋部の姿である、多頭龍様上半身を再び顕としたのだ。
同時に三段法騎戦艦を覆っていたエネルギー体も消えてしまうが。
「ほほ……できたではありませんか! 久しぶりのお姿ですねえ……それは!」
「な……何で……?」
青夢は大いに、困惑するが。
何はともあれ、かつての世界の敵であった龍魔王の宙飛ぶ三段法騎戦艦レッドドラゴンは再びその姿を表したのだ。
◆◇
「す、すごーい! またあの姿になれたね、青夢ちゃん!」
「え、ええそうね……」
青夢の操縦席後部にいるかぐやは、かなりはしゃぐ。
今にして思えば、もう少し訝るべきであったのだ。
なぜかぐやが、宇宙に来てからこの時までやけにおとなしかったのか――
「……セレクト! 女教皇の選択! 死、星、永劫! hccps://ioanna.wac/GrimoreMark/、セレクト 惑星の永劫死 エグゼキュート!」
が、女教皇は隙ありとばかり。
法騎ヨハンナに命じ、そこから無数の流星状エネルギー弾を放つ。
「!? くっ……hccps://jehannedarc.srow/、セレクト! ビクトリー イン オルレアン!hccps://jehannedarc.row/GrimoreMark、セレクト ルーアンの火刑 エグゼキュート!」
それを受け、思わず青夢は術句を唱える。
すると三段法騎戦艦レッドドラゴンは、かつてとは異なりすんなりとそれに応じ。
かつて新たな女王との戦いの際にも見せた、自身を模したエネルギー体を纏う姿となり、法騎ヨハンナの攻撃を防ぐ。
「やった、やったよ! 青夢ちゃん!」
「ええ……本当に力が戻ったのね……」
かぐやが尚もはしゃぎ、青夢は涙すら浮かべながら三段法騎戦艦レッドドラゴンを座乗する艦橋より見渡す。
「な、何やあれは!? め、メアリーさんとミリアのゴグマゴグが弾き出されて」
「あれは……じゃあまさか!?」
「れ、レッドドラゴン……青夢なの!?」
それを背後の戦闘宙域にいる真白に黒日、赤音も気づいて察し。
彼女たちも大いに驚く。
「……なら、背後の幻獣機さん方! 僭越ながら命じます……hccps://jehannedarc.srow/、セレクト! オラクル オブ ザ バージン! hccps://jehannedarc.srow/GrimoreMark、セレクト 百年戦争の語り部、エグゼキュート!」
青夢はそんな中、意を決し。
三段法騎戦艦レッドドラゴンが纏うエネルギー体より、周囲に光を振りまいて行く。
「あ……あれ!? 俺たち……」
「な、何してるっしょ!?」
すると幻獣機群に宿るVIたちに、記憶が戻る。
これは、かつて今回と同じ宙域で繰り広げられた、ペイル・ブルーメとの戦いの折。
仮想世界で育成され実体化させられていた魔男シャルル・ヴィクトリュークス率いる幻獣機群に記憶を取り戻させた時と同じ魔法だ。
「さあ……後は!」
青夢は光の粒が幻獣機群に満遍なく降り注いだその様を見て、次に移ろうとする。
今度こそ、あのVIたちを救わねば――
「うぐっ!?」
が、その時だった。
突如として青夢が座る操縦席背後から腕が伸び、彼女は宇宙装備の上からだが裸締めにされる。
しかし、問題はその腕の主だった。
「……か、かぐやちゃん!?」
そう、彼女の操縦席背後にいる人物など一人しかいない。
かぐやだ。
が、更に青夢を驚かせる事態が起きる。
「ごめんね青夢ちゃん……わたし、この時をずっと待っていたの♡」
「えっ……?」
青夢が更に驚いたのは、かぐやがまた不可解なことを言い出したからだけではない。
それは、同じ声がもう一箇所から聞こえたからだ。
そのもう一箇所とは――
「騙してごめんね……青夢ちゃん♡」
「な、何で女教皇が……!?」
今しがたの青夢の弁にもあった通り、法騎ヨハンナ。
声の主は女教皇であった――




