散漫
高島は携帯をいじる。
ふと高嶋の携帯が鳴った。
直ぐに高嶋は立ち上がって、電話をし始めた。
「もしもし。うん。そうだよ。うん。いいよそれで、はーい。ありがと。」
高嶋は電話を切った。
「誰からの電話ー?」
聡明が聞く。
「ママからの電話で。家にあんた達がいるってことと、夕飯はあんた達の分要らないよっていう話。」
「あー、ありがとな。」
「うん。」
聡明は何故か電話の内容というプライベートな所にも漬け込む。
が、高嶋もそれに慣れているのか、何も突っ込まないし感謝されていつもの通りに返事をする。
本当に聡明は女子だとか気にしていないんだな。
きっとこう言う奴には恋愛感情ってもんがないんだろうな。
高嶋はまた携帯をいじりはじめる。
俺は気が散ってるんだと思う。
二人の行動を常に把握していることを自覚した。
良くないな。
俺が集中して、付箋から目をそらさないようにしようと胸に決めると、暫く無言は続く。
聡明は鼻歌を歌い始めた。
古いポップスだ。
高嶋はまだ無言で携帯をいじっていると思う。
でも何故か、横にいる聡明からではなく、前に座る高嶋から視線を時々感じる気がする。
俺は気になってなにか考える。




