言い訳
「いや、やべえだろこんなの、見つかったら退学だろ!」
きっとこいつは、小声で話せてると思ってる。
「そんなじゃねぇって。大丈夫大丈夫。」
見つかるのが怖くて明かりを付けなかったが故に物入れに足をぶつけゴンと鈍い音をだす。
「おいお前やめろって、」
聡明はかなり腰が引けているよう。
部屋の隅にはほんの人が二人挟まれるくらいのスペースがあり、怖くなると聡明はそこで縮こまる。
俺はさっと二つをブレザーの両ポケットにいれると事務室のドアをあけ、辺りを見渡して外に出る。
すると聡明はすぐ出てきて俺のすぐ後ろを歩く。
すぐに階段があって右を曲がるとちょうど事務員さんが降りてくる。
「うおっ、」
聡明は驚き、一歩後ろにさがる。
俺は歩き続けた。
聡明もまた俺の後ろに来たが、事務員さんはそのまま事務室を通り過ぎた。
「お前ビビりすぎじゃね?」
「いや、だってしゃーねぇだろ。」
「いやいや、なんでそんなビビってんの?むしろ見つかるからやめて欲しいんだけど。」
「俺はビビろうと思ってビビってねえよ!」
ごもっともだと思った俺は何も言えなかったが、なんだか少しおかしくて笑ってしまった。
「なんで笑うんだよ。だってそうだろ?」
「いや、そうだけどさ。普通はビビった人はそんな堂々としてないから。」
「ビビってねえもん。」
「は?」
「いや、ビビってはない。驚きはしたけどな。」
なんだこいつ。