表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしわあなたにあいたい。  作者: ぷりん
廃棄
75/108

危ない匂い

「お前は頑張ってるからな。」


「いいの?」


「おう。ここら辺で何個か空き家があってな。まだ水道も電気も繋がってるけど、だれも住んじゃいねぇ場所がある。そこに、俺と住むか。」


「えっ」


最後の一言が引っかかった。

お父さんと、、?


「嬉しいんだよな。かわいいなぁ、よしよし。じゃあ移動するから早く車乗れ。」


「はい、、、」


僕は


どこまで行っても逃げられないのだ。



黒く、いやに太陽に光る車に乗せられる。


希望が絶望に裏返った時。

きっと普遍的に訪れる絶望と同じものであっても、心にきたすストレスという支障はあまりにも大きく肥大するのだと、その時僕は気づいた。


お父さんの監視下からの解放という何よりも嬉しい事態は、一人では何も出来ないという現実を垣間見せ、挙句にはまたもやお父さんの監視下に置かれようとしている。


これじゃあ、まるで人形だよ。


お父さんが僕を可愛がりたいから、手元に置きたいから。

自分の思った様に、僕を構築したいから。


後部座席のシーツの上に、埃がかかっている。


床には無数のキャリーケースが置かれて、紺や黒のそれは何となく触りたくなかった。


お父さんは窓を開けて煙草に火をつけた。

僕は助手席で、煙たい空気を吸って、ただ遠くを見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ