表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしわあなたにあいたい。  作者: ぷりん
わたしわあなたにあいたい。
7/108

ばかが香るクリームソーダ

いつの間にか聡明は目の前から消えていた。

やっとの思いで脇腹を抑えながら体育館に入ると聡明は胡座あぐらをかいて皆とアイスを食べていた。


やっぱり敵わないと改めて思った。


「俺の分は?」


と息を上げながら聡明に聞くと、聡明は箱の中から1つを取り出し渡してくれた。


どろどろのぐしゃぐしゃだった。


いや、アイス自体はまだ若干凍っていた。

恐らく聡明が走った衝撃で半壊してしまったうえに、太陽の熱で若干溶かされたのだろう。


「あのさ。これどうやって食えっていうの?」


聡明は口いっぱいにアイスを頬張っていたらしく、

眉間にしわを寄せて、頭に響く冷たさに耐えながら、ちょっと待って、と片手をあげた。


「だいぶ辛そうに食べるじゃん。美味しいの?」


と聡明に笑いながら言うと、アイスの箱を挟んで向かいに座っていた高嶋がちょうどアイスを飲み込んだようでこう言った。


「この人馬鹿なんだもん。」


聡明は笑って吹き出しそうになったのか口に手を抑えて鼻で笑っていた。


やっと飲み込み終わったのか、聡明は


「馬鹿っていうな馬鹿って!」と


声をはりあげながら言うと、俺の方を向いて、食べ方を教えようとした。


「そのまま食え。」


俺に放たれた言葉はあまりにそのままだった。

こいつ、ばかだ。


「どうやって食うんだって聞いてるんだけど。」


「わぁったよ、しっかり教えるわ」


聡明は俺が手に持っていたアイスを取ると、

袋の角を破いた。


「これでここから流し込め。」


こいつは馬鹿なのか、頭がいいのか。分からなくなった。


確かにこれがまともに食べる方法ではある。

しかしこれはアイスとして食べていないじゃないか。

もはやクリームソーダの飲み物として飲んでいる。


俺は言われるがままに飲み込んだ。

味は確かだった。


「このアイス無くなるの早いんだけど。」


俺が笑いながら冗談めかしていった。


「そういうもんなんだよ。」


聡明はやはり馬鹿だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ