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ドッペルゲンガー
今日、いつも通り学校に行くために外に出た。
お母さんに「行ってくるね」と言って家を出たら、目の前の家でドアの開く音が鳴った。
そうだ。
最近は忘れかけていたけど、瀬戸は死んでしまった。
今日という日は最悪だ。
私にあの地獄の断面のような出来事を思い出させるなんて。
死んでしまった瀬戸の家から出てきたその人は、私に着いてきた、電車まで行きたいのかな。
気配で探って、目を合わせないように。
その地獄の断面をまた、見ないようにしていた。
ちらっと顔が見えた時、瀬戸に物凄く似ていた。
最低だ。この世に瀬戸は、一人でいいのだ。
私は電車に乗り込むと、いつもは見ない動画投稿アプリを開いた。
直視したくなかった。
見たくなかったし、思い出したくなかった。
居ないものにしたかった。