通話拒否。
雛子からメッセージが来た。
「このあと電話できる???」
夜ご飯の焼き鮭の風味がまだ残っている。
雛子は、私が夜ご飯を食べる時間も把握して、考慮した上でこういうメッセージをくれる。
嬉しいけど、自分の部屋でただぼーっと夜を見ていた私は、なかなかそういう気になれなかった。
まだ瀬戸が、私の心を握っている。
そして目の前に見える瀬戸の家が、私を突き刺してくる。
苦しいなら見なければいいのに、窓を閉めると瀬戸を受け入れていないようで、暑いのに窓を開けっ放しにしている。
me'inで来た雛子からのメッセージには、あまり考えないように勢いで「ごめん!今日は無理そう!」とだけ答えた。
空の星を見上げると、星が数え切れないほどあった。
こんな日に限って空が綺麗だ。
いや、こんな日じゃないと空を見上げたりしない。
動く星みたいな飛行機を見つけて、追っていると、星を通って、また違う星を通った。
満天の星空だから星の下を通るのは当たり前だけど
星と星を繋ぐ飛行機、なんだかそれは近くて遠い物のような気がした。
私はもう、自分の気持ちに嘘はつけない。
彼にキスをしたいと思った時にやっと気づいたけど、
私は瀬戸が好きだったんだ。
もし、自分に嘘を吐き続けなければ、
もし、愛し方を分かっていたら、私は瀬戸を愛すことが出来たのかな。
私は満足したようで、窓を閉めると冷房を付けて布団に入った。
明日になったとしても、きっともう私は学校に行けない。