幸福体質
文化祭、瀬戸くん主役なのにな。
昨日いた人が、今日突然居なくなってしまうなんて
誰も思ってないよ。
まるでその予告をするみたいに、ご先祖さま達は皆いなくなっちゃったけど、
それでもエンディングがこんなにも突然なんて、そんなの酷いよ。
そうだ、瑞希ちゃんと夜、電話しよう。
きっと瀬戸くんの事を思い出すと辛くなっちゃうだろうから、寝るまで話していればそれまで辛くないよね。
駅を出た私は、道端に一輪だけあった黄色く小さな花を見ると笑って歩き出した。
住宅街に溶け込んでいたような駅だから、周りはすっかり静まり返っている。
細い道なんかはもう真っ暗になっているし、他の道は街灯で何とか明るい感じ。
家から駅までが近くて、いつも電車の音が聞こえてたから、勉強している時もずっと電車の音を聞いていた。
だから「うるさーい!」なんて電車に怒ったことだっていっぱいあったなぁ、
妹の羽那も電車が通る度に「ばーか!」って言ってたし。
あ、カーテンあきっぱなしじゃん!
自宅に着くと、外からお父さんの部屋が丸見えだった。
私は急いで家に入ると、手を洗ってすぐさまお父さんの部屋に行く。
「もう。いい加減にしてよね!」
カーテンを閉めると、キッチンから廊下に顔を出したお母さんの声が聞こえてきた。
「雛、おかえりーどうしたのー?」
「ただいまぁ!ん。お父さんがカーテン開けっ放しだったのー!」