chapter:1-4
中々以前のように更新頻度を高めることができないですね……。
八月中にリハビリができるように頑張ります。
授業中であるにも関わらず、ミシェルは大きな欠伸をした。この学校に来てから何度も聞かされたことであり、なんなら入学をする前から何度も何度も目に焼き付けていた歴史であったからだ。
血の湖の中で迎えた九歳の誕生日、友人の少女やその家族たちが犠牲となって、自分の家族だけが生き残った日から、ミシェルはヴァイラミー全体への復讐を誓っていた。入学をしてから成績優秀の生徒として教師たちから一目置かれた存在となっているのも、その復讐心が原動力となって知識を高めていたためだ。
シムカが話す教科書の内容の補足を聞き流しながら、ミシェルは昔の出来事を思い出していた。今朝に夢としてその出来事が再現されたからだろうか、当時の感情までもが今のミシェルの心に蘇っていた。
自分のために知人が犠牲となっているのに何もできない悔しさ。それでも死ぬかもしれないという恐怖。何もできない自分に対する苛立ち。そして全ての元凶であり、自分たちを襲った怪物に対する怒り。
『ロールが生き残ってたら、どんな未来を歩んでいたのかな』
様々な感情が渦巻く中で、ふと、もしもの可能性について考える。ミシェルよりも小さい体でヴァイラミーの攻撃から自分を守ってくれたあの子が生きていたら、今どのような人生を歩んでいただろうか。
ロールはミシェルの二歳年下だった。あれから八年経過したのだから、今生きていたら十五歳のはずだ。花や草木を大事にする少女だったから、もしかしたら花を育てる仕事にでもついていたかもしれないな。
最初は楽しい妄想を続けていたミシェルであったが、次第に虚しくなり、彼女は授業終了の鐘の音と共にその妄想を打ち切った。