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chapter3-24

「そんなに気になるなら止めればよかったんだ」


 『検査の邪魔になるから部屋から出ていきたまえ』。シューツにそう言われたミシェル達は、部屋の前に立ち彼の検査とやらが終わるのを待つことにした。そしてこの待機している時間の中、ミシェルは落ち着きをなくしており、腕を組みながら部屋の前を一人でぐるぐると回るのだった。


「いやしかし、シューツさんなら彼女について何かわかるかもしれないじゃないか」

「そう思っているなら黙って待っていろ。どのみち今から部屋に突入してもシューツの機嫌を損ねるだけだ。諦めろ」


 ぴしゃりと言い切るディーナに対して何も言い返すことができず、ミシェルは壁に寄りかかって大人しくシューツの検査を待つことにした。もっとも、大人しくすることができたのは最初の数分だけであったが。


「おぉ!?」

 

 そして壁に掛けられた時計の長針が一周する頃、部屋の中からシューツの大きな声が聞こえた。

 これまでもぶつぶつといった独り言のような声は扉から漏れて聞こえてきたが、今の驚いたような大きな声が聞こえたのは初めてだった。何か大変なことが起きたのか、そう思ったミシェル班のメンバーは急いで扉を開けて中へと入っていく。部屋の中ではシューツは顕微鏡を除きながら驚いたように口を開けており、その後ろのベッドではロールが何事もなかったかのようにすやすやと眠っていた。


「シューツ、何かわかったのか?」

「……う、うむ。可能性としてはあるかと思っていたが」


 シューツは恐ろしそうに、だがどこか興奮したような様子で応答する。小さな寝息をたてる少女を横目に、ミシェルはシューツが続きを言い出すのを待っていた。


「あの少女はヴィーウイルスに感染している」

「……は?」


 ミシェルは頭を金槌で殴られたかのような感覚を覚えた。その言葉が意味することがわかってしまったからだ。そんなわけがない、と現実を拒否する泥沼のような気持ちがミシェルの心を蝕んでいく。


「じゃあロールは」

「あぁ。彼女は」


 嘘だ。そんなわけがない。


「あの少女はヴァイラミーだ」


 そんなミシェルの気持ちとは裏腹に、シューツはピシャリと言い切った。

こちらの内容で第一部完結といたします。

続きの更新は未定です。

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