chapter:1-2
あまり話が進んでいないので一回投稿することにしまきた。
ミシェルとディーナが講習室に辿り着くころには、部屋の席は既にほとんどが埋められていた。三人用の長椅子や長机が並んでいるこの部屋の中で、残っている箇所は奥の端の方の席などの黒板が見えづらい席だ。ミシェルがやるせない気持ちをため息で表していると、黒板の目の前の席に座っていた金髪の少女が講習室へやってきた二人に声をかけてきた。
「あら、ミシェルにディーナ。随分と遅かったですわね」
「マオか。あぁ、ついつい昼食時に話し込んでしまってね」
独特の口調で話す少女はマオ・サージョという、ミシェルとディーナとは仲の良い少女だ。マオはウェーブがかかった自慢の長い金髪を靡かせて親友である二人との会話を続ける。
「お気をつけなさいな。いくらあなた方が成績優秀だからといって、普段の行動が不良めいたものであれば教師達に目をつけられますわよ?」
「わかっているさ。だが普段からギャンブルだの密造だのをするディーナならともかく、私は比較的普段の行いが良いから大丈夫だ」
「はっはっは、安心しろ二人とも。アタシは教師に悪行に関して咎められたことがない。それが唯一の誇りだ」
「いつも通りですのね。安心しましたわ」
呆れ顔を浮かべたマオは、自分が陣取っていた黒板の目の前の席に二人を呼び、座らせる。入学当初からよく行動を共にしていたこの三人は、昼食の時間や座学の時間などを共に過ごすことが多かった。最もミシェルとディーナが同室となってからは、マオが一人行動することも増えてしまっていたのだが。
「まったく、ミシェルはディーナと同室になってから生活態度が悪化していませんこと?」
「困ったな、否定ができない」
「こいつがもともとそういう人間だっただけだ。アタシが悪いみたいに言うな」
「どっちも気をつけなさいな。……あ、シムカ先生ですわ」
始業のベルと同時にやってきたのは深緑色のセミロングヘアをした、長身の女教師が講習室へとやってくる。シムカという名前のその教師は教室内の中にいる生徒たちを見渡すと、その細い目を手元にある教科書へと移した。
「授業を始めるぞ。お前達も早く教科書を開け」
シムカの言葉とともに生徒たちは教科書を開く。指定されたページはヴァイラミーやバスターズに関する歴史について記載されていた。