chapter3-13
投稿設定するの忘れてた……
咆哮がした方向へと四人は振り向き、今度こそ取り逃さぬようにとその方向へと駆け始める。すると紅い水滴が地面を汚しており、それを辿っていくとヴァイラミーの姿が見えた。
血溜まりの中に沈んでいるヴァイラミーの姿が。
「……えっ」
しかし、班員が驚いているのはヴァイラミーが死んでいるため、だけではない。
その横にいる金髪の幼い少女が目についたのだ。
修道服に身を包んだ、まだ幼い姿のその少女は、ヴァイラミーの体の一部と思われる肉を手に持っていた。そしてその体は紅に染まっている。
「なんだ、アイツ」
「例の妖精、でしょうか」
そうだ、確かにヴァイラミーを倒す妖精の噂は学内で流れていた。自分たちよりはるかに幼い姿をした少女は、確かにその美しさを見れば妖精と間違われる可能性もあるだろう。何より、目の前の金髪の少女のような、幼児期を抜け出したような背丈の人間がヴァイラミーを倒せるわけがないのだ。
だが、少女は確かにそこに立っている。血を浴びた姿や倒れている生物の存在を見る限り、彼女が倒したと考えて間違い無いだろう。そんな謎の生物に向けて、ディーナが銃口を向ける。
「おいそこのお前、何者だ?」
「……」
少女は答えない。空色の透き通った瞳が冷たくディーナを睨み返すだけだった。反抗的な態度が癪に触ったのか、ディーナは声を低くして少女にもう一度問いかけた。
「答えろ。答えなければ……」
「待て、待ってくれ」
ディーナが構える銃を下ろさせて、前に出たのはミシェルだった。しかし様子がおかしい。いつものような自信満々な様子でもなく、班行動をするまえのような弱々しい様子でもなく、感極まったかのような希望に満ちた表情をしていた。
「ロール」
そしてミシェルは、その嬉しそうな表情で少女に語りかけるのだった。




