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chapter3-8

「まったく。普段はあれだけ自信家の癖して、結局は小心者なんですから」


 マオは呆れたような、大きなため息を吐いた。小心者、と呼ばれたミシェルは言い返そうか考えたが、現状を整理すると否定する材料がなかったのでやめた。


「あら、反論はありませんの?」

「そう言われても仕方がないかなと思ってね」

「……貴方、本当にミシェルですの? 学校で調子に乗っていた時とはまるで別人じゃありませんの」

「どうだろう。私は思ったよりしょうもない人間だったのかもな」

「うわぁ……。こんなミシェル見たくありませんわ」


 頭を抱えるマオとともに、ミシェルも自分自身に呆れた感覚を覚えていた。自分は成長したと思っていたが、思い込んでいただけだった。ミシェルの心は今もあの血溜まりの中にあるのだ。憎しみだけが残っていると思っていたが、実際には恐怖の方も多く残っていた。


「……ところで、君はどうなんだ」

「何がですの」

「はぐれヴァイラミーを探す件について、君は肯定派なのか?」

「そりゃそうですわよ。それこそ貴方のような人を増やしたくないですもの」


 サラッと当然のように話すマオ。それを見たミシェルは少しだけ驚いた。彼女は自分と同じような感覚を持っていると思っていたからだ。

 同じ思考であることには変わりがない。ミシェルもマオも、本当は他の生徒と同様にはぐれヴァイラミーを探した方が良いと考えている。その中で生徒たちへの被害を考えて追うのを辞めたのがミシェルとイクサであり、それ以上の被害を考えているのがマオだった。


「それに、先生が言っていた通りですわ。死ぬ覚悟は入学した時にできていましてよ」

「まともなんだか狂ってるんだか……」

「まともな人間がこんな学校に来るわけないでしょう」

「ははっ、違いない」


 そういえばディーナも同じようなことを言っていた。いつの間にか自分はまともになろうとしていたのかと、ミシェルは再び自分を嘲笑するのだった。

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