chapter3-7
イクサが出した答えもミシェルと同じものだった。その決断に納得がいかない生徒もいたものの、ほとんどの生徒は冷静になり、再びその場に座り込む。
これで良い。応援要請が来たならまだしも、そうでないのなら待機で良いはずだ。学生の身分である自分達が出張った方が全体にとっては迷惑のはずだ。ミシェルは自分に言い聞かせるように、心の中でそう呟いた。
「何か引っかかっているようですわね」
そんなミシェルにマオは目を細めて問いかける。なんだか心の中を見透かされたような気がして、ミシェルはマオの視線から目を逸らした。その行動がマオの追求をより厳しいものにする。
「図星ですのね」
「何がかな」
「貴方、さっき言った本音とやらを気にしているでしょう」
不覚を取った。余計なことを言わなければよかったと、ミシェルは内心で反省するが、マオはその間にも質問を叩き込んでいく。
「前に貴方が言ってましたよね。自分が何故バスターズに志望したのか」
「そうかもな」
「自分と同じような体験をする人が出るかもしれないと、脳裏に浮かんだのではありませんの?」
「……君の」
君の観察眼の良さは厄介になる時もあるな、と呟くミシェル。その間にもマオは言葉を繋いでいく。
「その時に自分の代わりに犠牲になった子どもがいたって話してましたわよね」
「あぁ」
「そのことを思い出しているわけでしょう。それが本音と建前。本心ではそのような犠牲を出すわけにはいくまいと思っているのでは?」
マオの推測は概ね的を得ていた。元々視線を逸らしていたミシェルだったが、彼女の発言に耳を痛めたためか少々バツが悪そうに顔を背けた。




