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chapter2-10

(サブタイトル考えないのは楽でいいなぁと思ったり)

「お、遅れてすみません」

「いや、集合が遅れたのは私とマオの方だ。君が気にする必要などないよ」


 眼鏡をかけ、水色の髪を後ろで二つに絞った少女――ナコ・キョーワはミシェルたち班員を見つけるとおどおどした様子で駆け寄ってきた。その様子から察することができるように彼女は少々引っ込み思案な性格の持ち主だ。ミシェルたちの班員として加わったのも、その性格が災いして一人でいるところを人数合わせのために無理やり勧誘されたためだった。


「ナコ、君はもう少し自信を持った方がいいな。君は人並み以上のことができる人間だ。そのおどおどとした性格は君には似合わないよ」


 しかし、ナコはミシェルが言ったように人並み以上のことができる少女だった。二時の方向に撃てと言えばその方向に射撃し、味方の誰かが「敵を倒せる」と勝手に判断して前線に突っ込んだ時には即座に援護に周り、反省会の時には誰よりも的確な意見を言ってくれる。そんな秀才な彼女を、ミシェルはとても気に入っていたのだった。

 

「えと、ごめんなさい。でもわたし、ミシェルさんほど色々できるわけじゃないし、ディーナさんほど戦闘センスがあるわけじゃないし、マオさんほど射撃の腕があるわけじゃないし……」

「そうかな。君は私よりも周囲が見えているし、ディーナよりも正確な性格をしているし、マオよりも協調性がある。君には君の良いところがある、覚えておくといい」

「ミシェルさん……。ありがとうございます。ところで途中のは駄洒落ですか?」


 あぁ、スルーしておいて欲しかった。と、ミシェルは心の中でそう呟いた。思いついたから言ってみただけで、笑ってもらえると思ったわけではないのだ。誰に言うわけでもないが、ミシェルは心の中で言い訳をしていた。


「十四時二十分を経過した」


 和やかな雰囲気の中、冷ややかな声が響き渡る。拡声器から聞こえる学年主任の声は、心なしか少しだけ震えている気がした。


「これよりこの体育館にいる生徒たちにヴァイラミー討伐に関する連絡を行う。質問は受け付けず、説明は我々が重要だと思うこと以外は繰り返さない。聞き逃さぬように」

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