chapter:2-8
ここ一週間くらい体調が悪い状態です。
「なんだ?」
非常用のサイレンが鳴り響いているためか、先ほどまで勝負に使っていたパネルの仕掛けはまったく動かなくなってしまった。
不安を煽る嫌な音は止まらない。しかしその音に重なって聞き覚えのある肉声が部屋に広がった。
『学生諸君、聞こえるか』
冷ややかな女性の声だ。どことなくそっけなさを感じるこの人が話しているということは、逼迫した事態となっているかもしれない。
『シムカ・オルシエだ。四年以上の生徒は速やかに体育館に集合しろ』
「四年以上?」
この学校は七年制だ。つまり全校生徒のうち半数の人間を、わざわざサイレンを鳴らして招集していることになる。ミシェルたちが思っている以上に状況は良くないのかもしれない。
『説明は後でまとめて行う。今から十五分後、十四時二十分までに集合をし、各自前回の実習時の班に分かれて待機だ。繰り返す、十四時二十分までに……』
十五分後までに集合、となると余裕はなさそうだ。ペイント弾のインクで少々汚れてはいるが、着替えるよりもこのまま集合した方が良いだろう。訓練で使用した武器を雑に武器庫に片付け、二人は指示があったように体育館へと走り出した。




