閑話 王女2
目付きの悪い少年……陽介殿が、大声を出した少年に対して何事もないかの様に冷静に説明する。
「少なくとも向こうにこちらを騙そうとする気配は無かった。」
彼がそう言った事に少し驚いた。確かにこちらに騙すつもりはなかったのだがあの短い会話だけで私達が騙す気が無い事に気が付いたことに。
しかし、尚も少年は食い下がる。
「そんなの分からねえだろ!」
彼の言う通りだ。もし、私達が彼等を騙すつもりならこの時点でアウトだ。
そこに先程の美少女が割って入る。
「私も陽介くんに同意見です。」
その堂々とした少女に少年はたじろぐ。
「私もあの人達が私たちを騙そうとしている様には見えませんでした。」
「ぐ………し、熾盛院さんがそう言うなら……。」
確かにあの美貌と凛とした姿は男には最強の武器だ。
陽介殿は口論が終わったと見るや、1番近い席に座り、
「とりあえず皆落ち着いて座ろうぜ。」
すると、少しイラついている少女が彼に問う。
「なんでアンタはそんな落ち着いてんのよ。」
すると彼は、
「まぁ、慌てても変わらんしな。」
そうあっけらかんと言った。
少女はポカンとした顔をすると、舌打ちをして乱暴に椅子に座る。
陽介殿はなかなか肝が座っているらしい。
全員が座ると陽介殿は私に魔王討伐やそれに類するものに対して断る事が出来るのかと聞く。私はそれに対し断れる事と断った場合王城で保護する事を伝える。
それを聞いた陽介殿はなるほどと理解した後他の少年少女達に戦った方が良いと伝える。
陽介殿曰く、少年少女達はこの世界に置いて弱者である。それは、この世界の事をあまりに知らない故に物事が1つの方向からしか見えない。だから外の世界に出る事でこの世界での様々な出来事や情報が手に入って、いざという時に助かるかもしれないという事らしい。
そして陽介殿が私に問う
「教えてくれるんだろこの世界での戦い方を、王女さま」
私は近衛騎士団と魔術師団が彼等を教えてくれる事を伝える。
陽介殿はそれを聞いた後、少年達の方に向き直して彼等に問う。
「ここで聞くが戦ってもいい奴は手を挙げてくれ。」
ここで真っ先に3人の人間が手を挙げた。陽介殿達が召喚された際陽介殿の身の周りにいて真っ先動いた3人だ。恐らくこの3人と陽介殿は特に仲がいいのだろう。そうでなければここまでお互いに信頼し合った目をする事は出来ないだろう。
次に手を挙げたのは以外にも先程からイラついていた少女だった。私も少し驚いて少女の方を見ると陽介殿と一緒にいるかなり美形な青年に恋する乙女の表情で見ていたため、納得する。確かに彼はかなり女性受けがいいのだろう。
そして次に手を挙げたのは、メガネをかけたどちらかといえば地味な印象を受ける様な少女だった。
彼女曰く、この世界にある魔術や未知の物に興味がありこの世界をみてみたいそうだ。
その次のハツラツとした少女が手を挙げると男子のほとんどが手を挙げた。恐らく美少女達が戦うから自分も戦うと言った所だろう。男とは単純な生き物である。そう思い陽介殿を見ると同じような顔をしていた。
すると、先程のイラついていた少女の周りいた少女達が手を挙げはじめ、更にはそれ以外の少女達も手を挙げる。
そして最後に残った先程大声を出した少年も共に戦う事と決意する。
そして全員が手を挙げた後陽介殿はこっちを向き、
「王女様これでいいか?」
と、といてきた。
以上、王女視点です。