1 案の定
不定期な投稿ですが頑張ります。
俺は眼が覚めると予想通りだった事にため息をつく。
玉座らしきものに座るまさに王と呼べる様な風格をした壮年程の男性とその玉座の右側に立つ眼鏡を掛けたいかにも宰相ですと切れ長の目をした男性。
その反対側には少し緊張した面持ちのいかにも王女然とした金髪のドレスを着た俺らと同い年ぐらいの少女。そしてその玉座がある段の一つ下の左側には西洋鎧を着て熾盛院さん程はあるだろう大剣を背負った2メートル程はある大男。
右側にはローブを着たいかにも魔法使いですという見た目をした好々爺がいた。さらにそこから2段下、俺らの左右を囲む様に左側に西洋鎧を着た騎士然とした人達が、右側にはローブを着た魔法使い然とした人達が立っていた。その背後に魔法使いや騎士に守られる様に文官らしき人達が立っていた。それを見た後、警戒しつつ近くに居た3人に声を掛ける。
「翔、皆の右側に。翼は左に、熾盛院さんは皆の後ろを頼む。」
俺は武術の心得がある3人をクラスの皆の左右前後に付く様に指示を出す。向きとしては黒板側がそのまま玉座に向いているのでほぼ教室の中央に居た俺たちは四方に散る事になる。
「陽介は?」
「俺は前に行く。」
「大丈夫かい?」
「安心しろ。なるべく穏便に済むようにするさ。ま、最悪の場合になっても俺も翼ん家で鍛えてもらってから何とかなるだろ。多分。」
流石超ハイスペック共、状況が掴めてなくてもやるべき事を分かって指示に従って下さる。そう思いながらクラスの前に歩き出す。今さっきあんな事を言ったが、正直もし戦闘になった場合こっちに勝ち目は無いだろう。そもそも戦力差が大きすぎる。こっちの戦えるのが俺と翔、翼に熾盛院さん、後はクラスの柔道部員が2人。
それに対して向こうは明らかに魔法を使えそうな人達が好々爺含め20人前後。更には剣と鎧という現代に生きる軍人が見れば現代戦ではまったく使い物にならないと感じるだろうが高校生には充分脅威な武具をフル装備した騎士達も大剣の騎士含め魔法使い達と同じく20人前後居る。もし戦いになったら戦いと呼べるものになる前に俺らはねじ伏せられる。っと、いけねぇそうならない為にも俺が前に出るんだ。
「勇者達よ良くぞこの世界に来てくれた。」
俺が皆の前に出ると同時に玉座らしきものに座る王様っぽい人が話す。俺は3人が周囲に展開している事を確認する。
「私はランク王国国王、シュタイン・フォン・ランクと云う。」
国王っぽい人は案の定国王だったらしい。
「陛下、陛下の名はもっとある筈ですが。」
「よい。いきなり違う世界に呼ばれいきなり偉そうなジジイがいきなり長い名前を言ったら第1印象が悪くなってしまうであろう。」
「はぁ〜。まぁ、陛下がそう仰るなら構いませんが。」
どうやらなかなかにこの王様庶民派らしい。宰相らしき人とそう話した後国王はこちらに向きなおす。
「まずは呼び出した君たちに言わなければならない事がある。」
そう言い国王は目を閉じ深呼吸をして、目をカッと見開くと、
「すまないっっっ。」
と、思いっきり玉座の上で俺らに頭を下げた。