7 回想続き
「では、皆さまもお集まり頂けたので、お食事にさせていただきます。」
王女さまは俺らが全員到着するとそう言って指をパチンと鳴らす。すると一斉に入ってきた給仕さんが俺らの目の前に料理を並べていった。
白米に刺身、天ぷらや豚カツに唐揚げ。ステーキにすき焼き等など。
うーん美味しそうってほぼ日本と変わらんやないかいっ!!!
周りをみると他の皆も驚いた顔をしている。
こういうのって大体西洋風な料理で日本の料理に比べると物足りないなってなるシーンじゃないん?
「この料理は先代方の勇者部隊の料理人の方がこの国に広めた料理です。先代方もあなた方と同じ国であるという事なのであなた方の故郷の味を再現させて頂きました。」
お、おう。なるほどね。流石にこの世界に来てまで元の世界の料理食えると思わなかったわ。
「おーい、王女さまは一緒に食べないのかい?」
俺は手を付けはじめた生徒が居る中王女さまに向かってきいてみる。
「い、いえわたくしは皆さまの案内を任されているのでお気になさらずに。」
「そんな事気にしないでさ。むしろ王女さま立たせて俺らだけで飯食ってる方が気まずいしな。なぁ、みんなー。」
「そうだね。せっかくだし王女さまともお話ししたいしね。」
俺の押しにすかさず翔が乗ってくる。その言葉に食事を口いっぱいに頬張ってたヤツらも大きく縦に首を振っていた。
「で、ですが....。」
「ですがもムスカもない。ほらさっさと座って座って。」
俺は無理矢理王女さまを翔の隣に座らせると自分の席に座る。
もちろん、王女さまの席に食事はなかったので俺も指パッチンしてみる。一向に出てこないから普通に呼んで準備してもらった。恥っず。
普通に食事は美味かった。その後は皆で浴場に入って(もちろん男女別な)食堂でみんなで集まってこの世界に伝わってたトランプやUNOを王女さまを交えてやった。
なかなかに王女さまも今日だけで馴染んだな。
まぁ、ここから先この王女さまがこの世界の住人で1番長い付き合いになるだろうからな。
それが解散したあと全員が部屋に戻り就寝時間になった。いや、普通に修学旅行やないかい。というのはこのクラスのほとんどのヤツが思っただろう。まあ、俺も普通に楽しんでたけど。
俺は寝る前に今日出た情報をまとめたり今まで読んできたラノベ知識から明日の起こりうる可能性を徹底的に妄想...もとい想定して眠った。
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「··········け。·····すけ!···うすけ!!」
朝っぱらからうるせぇなあ。こちとら今異世界で無双してたんだから邪魔すんなよ。
「早く起きないと学校に遅刻するよ。」
俺は飛び起きてすぐさま着替え臨戦態勢に入る。そして迷わず着替えようとして俺を起こしたヤツの方向を見る。
そこにはキザったらしい、全国の非リア男子高校生が見たら120発は殴りたくなる笑顔をした翔が居た。
「お前いつからそこに居た。」
「うーん、君が異世界でカッコよくヒロインを助けてる所かな。」
「怖えよ。なんで人の夢の内容分かんだよ。なんだよお前。怖いよ。」
夢の内容がピンポイントなのにドンピシャすぎて引いたわ。鳥肌すっごいんだけど。いまなら積乱雲の中でも飛べるわ。
「まぁ、冗談なんだけど。とりあえず早く着替えて食堂に行こう。今日は能力測定とそれに合わせた講師の顔合わせ。その後にこの世界の一般常識の話を聞くらしいから。」
俺は朝イチで聞く内容じゃない情報量に頭をパンクしそうになるが異世界に転移した事を思い出して溜め息をつく。
「はぁ。夢だったっていうオチじゃないのね。」
「まあ、僕もそう思いたかったんだけどね。こうなった以上は頑張ってみようかなって。」
そう言って翔は俺に向かって早く来なよと言いながら部屋を出ていった。こういうのって異世界で勝手が違うとは言え可愛い女の子にやって貰うヤツじゃない?
なんで朝っぱらから野郎の顔やねん。俺はもう一度深く溜め息をつくといそいそと着替えをはじめた。
服は翔も着てたような服がクローゼットにあったのでそれを着た。鏡がなかったので自分の格好をよく確認出来なかったが、やけにピッタリだった。いつ計ったんだろ。
そんな事を考えてる内に着替え終わったので部屋を出て食堂に向かった。