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勇者、鬼になります。  作者: からあげのおにぎり
1/11

プロローグ



「クッ………。」


 俺は吹き飛ばされながら身体を捻って体勢を整えて着地する。


「以外ね。勇者部隊の人間と聞いていたけど思っていたより戦えるのね。」


「俺も以外だよ。まさかサキュバスがこんなに強かったなんてな。」


 俺は少し軽口っぽく相手をディスってみる。


「なっ……!私は吸血鬼よ!それも真祖のね。あんな男の上に股がってないと滅ぶような下等種族滅んでしまえばいいのよ。」


 そんな事言ったら大体の種族が滅ぶのではと思ったがあえてそこは突っ込まない。


「所で貴方何故そこまであいつらを庇うのかしら?裏切られたんじゃないの?」


「裏切られたんじゃない。逃がしたんだよ。」


「何故?勇者部隊の人間は人間界ではかなり酷い扱いをされていたと聞いたのだけれど?」


 ん?あぁ、俺が言ったのがあのクズ共だと思ってんのか。


「あぁ、俺が言ったのはそっちじゃない。同じ部隊の奴らだよ。あいつらには生きて欲しいからな。」


「それは、貴方が死んででも?」


「おい、その言い方じゃ俺がアンタに負けるみてぇじゃないか。」


「違うのかしら。」


「違うね。だって俺が死ぬ時にはあいつらはもう安全地帯にいる。たから俺は負けてない。だから此処でしばらく一緒に踊ろうぜ、お嬢さん。」


 その言葉が終わると同時に俺は武器を構えながらこの世界に呼ばれた日の事を思い出す。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「おはよー。(かける)


 俺は、欠伸を噛み殺しながら教室に入って来たイケメンに挨拶する。目の前にいる憎たらしいほどのイケメンは木内翔。お金持ちという訳ではないが自炊を行えるほどの女子力の高さ、それでいて2個下の妹の面倒まで見るお兄ちゃん属性に甘いルックスという、何処のギャルゲーの主人公だと言いたくなるような奴だ。



「うん。おはよう、陽介。朝から眠そうだね。」


「そういうお前は朝から爽やかだねぇ。俺は昨日夜中まで本読んでただけだ。」


「あぁ、何時も陽介が読んでるやつだっけ?たしかラノベ?だったっけ?大丈夫?また、不健康な生活してると翼に怒られるよ。」


 翼と言うのは、俺の幼馴染みであり隣の家で道場をやっている観野神(みのがみ)道場の長女で文武両道で常に冷静でありさらには容姿端麗という何処の九条先輩だと思うようなプロモーションをした奴である。

 しかも俺の両親が共働きでほとんど家にいないからと言って何時もいいと言っているのにしょっちゅう家に来てお世話しようとしてくる。お前は俺のオカンかと思うような奴だ。

 そんな奴だからか普段から俺がなにか不健康な事などをするとマジで「お前は俺のオカンなんか」と思うぐらい叱ってくる。


「うげぇ、アイツがちで俺のオカン極めてるからなぁ。」


「誰がお前のオカンだって?」


 ギクゥゥゥゥゥと思わず背筋を伸ばしながら思わず後ろをゆっくり振り返る。そこには笑顔な筈なのに目だけは全然笑ってない観野神翼の姿があった。


「噂をすればなんとやらだね。」


 能天気に翔が言う。


「いやぁ…その…それはだな……何というか。」


「そもそも私は、お前のご両親に頼まれてお前がだらしないから仕方なくやっているのだ。」


「じゃあ代わりに私がやりましょうか?」


「なっ……!結菜!いいこれは私の仕事だ!」


 途中で話したのは熾盛院(しじょういん)結菜さん。日本四代企業である熾盛院家の1人娘で文武両道、容姿端麗で家では薙刀を習っているらしい。

 170センチある翼とは対象的に160センチほどしかないので翼と横に並んでると小柄に見えてしまうが、胸部の主張が嫌でも大人の女性なのだと認識させられる。

 基本的にニコニコしていて誰にでも優しく聖女だの女神だの呼ばれておりファンクラブもある。


「でも、し・か・たなくやっているんですよね?それなら私が変わると言っているのですが。翼の負担も減りますし。」


「い、いい私がやる。そもそも異性がふたりきりで1つ屋根の下など不純過ぎる。」


 コイツ、ブーメランぶっ刺さってる事気づいていないのだろうか。俺は、呆れながら翼を見ていると急に床が光りだす。その瞬間俺は、あ、コレ異世界転移するやつだと思いながら意識を落とした。





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