〜死因を突き止めろ〜
死んだ。よく分からないが死んだ。
会社員である和田は家で寝ていたらいつの間にか死んでいた。痛みとかはなかったし物音もしてなかった。
「ん?ここはどこだ?」見ると大量の人が列に並んでいる。国籍も違いそうだ。和田が戸惑っていると一回り大きな鬼がドスドスと足音を鳴らして現れ「ハイハイ並んで!並んで!順番はすぐ来るから。」と和田を列に引っ張っていった。「あの、なんの列ですか?」和田が聞くと、「あーそうか前世の記憶は無いのか。あのね、閻魔大王様の審判を受けるんだよ。天国行きか地獄か。まあ今更どうしょうもないから気楽に待っといて。」鬼はそう言うとまた列に並ばせる作業に入った。
しばらく列に並んでいると、閻魔大王と思わしき声が聞こえた。「この愚か者め!ワシを騙せると思うな!針山地獄1万年の刑じゃ!」恐ろしい声だった。和田が生前勤めていた会社の社長よりも恐ろしい。
ついに和田の番が来た。鬼に促され審判の部屋に入った。「和田登34歳、イナクラ商事係長だな。」閻魔大王は書類の様なものを見ていた。「はい。」和田は怖がりながら答えた。「ほう、さっき針山地獄送りにしたやつと比べ、とても真面目で平和に暮らしていたではないか。ん?死因のところが空欄ではないか。貴様、なぜ死んだ?」「それが分からないのです。寝ていたらここに来てしまいまして。」閻魔大王は頭をポリポリかきながら、「そうか…………。死因は何であれ常に分かるものだが、分からないのはこれが初めてじゃ。よう分からんから取り敢えず天国行きじゃ。向こうの扉から天国行きのバスに乗れ。」
「フゥ。」和田は地獄行きにならず一安心した。鬼に案内されて天国行きのバスに乗った。出発は後一時間あるようだ。それまで和田は自分の疑問を整理することにした。