第8話
「他の仕事、ですか・・・」
セバスは少しの間目を瞑り、そして答えた。
「お嬢様が何を聞きたいのかは予想が着きますが、答えになるかどうかは分かりません。が、お答えするのであれば・・・答えは否ですな」
「そうなの?本当に?」
「はい、当家の執事を務めようとするのであれば、不断の努力と才能、そして成し遂げるやる気がなければ無理です。他の職業に就きたいと思う心があれば即馘首でしょうな」
事も無げに話すセバスにモニカは重ねて問いかけた。
「生まれてすぐ自分の生き方を決められて嫌じゃなかったの?後悔はないの?」
「父からから今の地位を引き継ぐ際、先代御当主様から覚悟を聞かれました。もし嫌であればその際辞退を申し入れたことでしょう。先代もお認め下さったと思います。どんな才能があったとしても、それを貫き通す覚悟がなければどのような仕事も任せることはできないのですから」
「・・・覚悟」
「逆に御嬢様にお聞きしましょう。今回の婚約破棄、もし御主人様が本気で否定すればどうだったでしょうか?」
モニカはしばし考えた後、素直に答えた。
「ええ、きっとお父様に逆らうことなく破棄を取り消したでしょうね。私はきっとお父様に本気で逆らおうと思ってなかったわ」
「でしょうな。御嬢様、人を動かそうとするのであれば覚悟をお持ちなさい。例え死なんとも貫き通す覚悟を。あの時アクセル様の行動はそこまでの覚悟がありました。だからこそ私も、御主人様でさえも心を動かされたのです・・・ところでお嬢様、金庫は開きそうですかな?」
セバスと話しながらダイアルを回していたモニカはため息をついた。
「全然ダメ。王国の名前から『名誉』、『お金』、『地位』、『正義』・・・念のためお母様の名前も試してみたけど違ったわ」
「・・・お嬢様」
「やっぱり私には分からないわ。ねえ、セバス。貴方はわかる?」
「お嬢様」
「・・・わかってるわよ。それでも試したくない。認めたくない」
「モニカ様」
祖父のようにただ優しく名前を呼ばれたモニカは震える指でダイアルを回した。
『モ』・・・『二』・・・『カ』・・・
ダイアルを合わせ、ハンドルを引いた瞬間
カシャン
軽い音がして扉がゆっくりと開いた。
筆が進みません。
着地点はあるのですが、そこにたどり着くルートが見えないというかなんというか。
プロットとか作った方がいい気がしますが、作り方がわかりません。
とりあえず後少しで完結できそうなのでがんばります。
よろしくお願いします。