8 モフもふ天国
もふもふもふもふもふもふ・・・・
最近、寮の目の前の池にちっこいクマみたいなやつが住んでるんだ。ふかふかな毛質なんで寮のやつらに大人気だ。
俺も1日1回は触りに行ってる。腹に顔埋めるのが最近の癒しだ。クマオは優しいやつで頭を肉球でなでなでしてくれる。はぁー癒されんなあ。
クマオは晴れた日は水辺に上がってきてひなたぼっこしてて、雨の日は池から出てこない。
好物はイチゴのケーキで、持ってくと池から飛び出してくる。
かわいいなあ。
部屋に連れて帰っていっしょに寝たいんだが、嫌がるんだよな。
そんなある日、魔法学科の元聖女が池にいた。
ロリっ娘が池に手をかざすと、クマオが出てきてぺかっと光り輝いた。
な、なんだ?スゲエこと起こってる?
寮のやつら2,3人と口を開けて窓から眺めてると、クマオが人の形をとり始めた。
ー 耳としっぽ生えたかわいい子ども獣人さんになっちゃうやつ!?
俺たちが期待して見ていると、みるみるうちにクマオはゴリマッチョ 角刈りヒゲ面の強面のオッサンに変貌した(΄◉◞౪◟◉`)
え・・今の何なん・・・?
俺らの思考がフリーズしてる間にロリっ娘はオッサンを従えてどこかに消えていってしまった。
俺らオッサンの腹に顔埋めてたん・・・?
(΄◉◞౪◟◉`)
次の日、池を見るとクマオは何事もなかったかのようにひなたぼっこをしていた。
昨日のことを見てない寮のやつらは、クマオをモフモフして癒されていた。
いやあれオッサンだから・・
とツッコミたかったが、皆の癒しを壊すまいと俺らは顔を痙攣らせながら黙って笑っていた。
それから俺らはたまにクマオがオッサンになってロリっ娘と消えていく姿を目撃したが、それを見るときは必ずと言ってよいほど悪い噂のある貴族や商人が急な病で亡くなっていることに気づいた。
暗殺者ー
そんな言葉が頭をよぎるが、そんなことよりもオッサンの腹に顔を埋め、なでられていた事実の方が俺らにとっては衝撃だった。
・・・部屋に連れて帰っていっしょに寝なくて本当によかった。
はむはむとイチゴのケーキを食べる愛らしいクマオ〜ゴリマッチョのおっさん〜を見ながら俺は思うのだった。