5 君の名は神様
「お前ん時どんなん?」
「ピンク頭の幼女だった」
「俺もそいつかも」
「俺んときは水色の髪したおねーさんだったぞ」
「魔法陣で呼び出されたから知らねえな。会ってみてえな~」
左手にジュース、右手にポテト。
転生・転移科での打ち上げの時に、たまに出る話題。
「なあ、トモユキ、お前は?」
隣のやつが聞いてくる。
「俺は、ツインテールの眼鏡&八重歯女だったな」
唐揚げを食いながら俺はそう答えた。
そんな宴会のツマミのような、ラフな話題の主の名は・・
ー神様ー
そう、この世界の者にとって、創造主たる、全知全能の崇めたてまつられるべき至高の存在。慈愛に満ち満ちてすべての民を守り給う尊き御方。
そして、転生・転移科の生徒にとっては、ほぼ満場一致でこう思う存在。
ー神様ー
「俺んときアイツさー、間違って殺しちゃった、てへぺろっ♡とか言ってやがったぞ」
「俺も似たようなこと言われたぜ。ご・め・ん・ね♪チートつけとくねっ♡とか。殺意抱いたわ」
「当選しました~~とか言われました。性格もオツムもゆるゆるな方でした。」
「なんか強引にガチャ引かされた記憶があるぜ」
「あ、巻き込んじゃった♡好きな能力つけてあげる♪って。軽っっ!って思ったよ」
「・・・僕のときは・・すごく・・いい人・・だったよ・・?」
「「そんなん思うのお前だけだ!!」」
もうお気づきだろうか。転生したやつも、俺を含め転移をしたやつも、今ここにいる理由の大半が、
神様と名乗る女のありえない仕事の凡ミス〜エへっ間違えちゃった〜
なのだ。
この国だけで、こんなに大量に間違えられたやつがいるなら世界規模ではどんだけいるんだ。想像するだけで怖くなる。
俺が社長なら即クビにしているぞ。
最初はこの世界の管理をまかされた神界の中間管理職くらいのポジションのやつかと思っていたが、今ではできない新人か試用期間中のやつじゃないかと疑っている。もしかしたらアルバイトかもしれんな。しょっちゅう人材入替えがあるっぽいし。
来年は神様の犠牲者がいったい何人でるんだろーか。
そんなことを思いつつ、この世界を結構満喫している転移・転生科だった。




